RAW現像は【基本は】無駄、カメラない設定を使えという、JPEG撮影推奨の米国Ken Rockwell*1の宿敵であり友人の、Jared Polinさんが、その道のプロの友人のMike Kellyさんと、知人のJeff Totaroの助言を得て、アパートなど、不動産などの内観撮影のテクニックを公開しています。
写真がうまくなる方法とか、うまくならない理由とか、暇つぶしの根性論を読んだり聞いたりするより、実際のセミナーを見たほうが写真の上達に役に立ちます
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How to take PROFESSIONAL Interior Photos YOURSELF | Real Estate Photography Tutorial DIY
米国と日本では、土地・住宅事情が異なるので、 Jared Polin さんの言うことに多少のアレンジがいる場合があります
1: 動画1:38あたりから、まず大事なのは、decluttter(片付け)
2: 動画2:48 から使うレンズについて解説 20mm単焦点と14-24mmの超広角レンズを使ったよ 小さい部屋を実際より広く見せるためさ まあ、実際はこれに35mmと50mmくらいまでのレンズが有るといいね。(フルサイズの話なので、APS-Cサイズのカメラだと10-18mm, 14mm, 24mm, 35mmとなる)
3:動画4:00 から露出の話、昼間の部屋は、外の窓の明るさと、影になった室内の露出のバランスを撮るのが難しいので、露出ブラケットで違う露出の写真を撮って、後からフォトショップなどでHDR合成するのがいいよ*2
僕は露出(シャッター速度)を0.5段づつずらしながら、9枚撮影して、ま、9枚も撮影する必要もないんだけどね(補足 まあ、ブラケット撮影は、シャッター速度一段か1.5段ずらしで十分でしょう。自分で事前テストしてみるといい)、それをアドビのフォトショップでHDR合成して、アドビのDNG RAWで保存してレタッチするのさ(当ブログ補足16ビットTiffでも実用上はほぼ変わらない、8ビットTiffでもGamma Correctionの理屈からは、ほぼ問題はない 超高額案件ならアドビDNG,、や32ビットOpenExrなどの「劣化が理論上は一応ゼロ」の規格での保存はあり)
ブラケット機能のないカメラなら、手動でシャッター速度を変えながら、何枚か露出の違う写真を撮るといい 当然三脚が必要だよ。(当ブログ補足)最近のカメラは手持ちで撮影してもうまくつないでHDR合成してくれるのも多いが、失敗の可能性は、三脚使用時より高くなる
さて、Adobe PhotoshopでのHDR合成の解説
「ハイダイナミックレンジ(HDR)画像について」 アドビ
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/using/high-dynamic-range-images.html
他のソフト、例えばAffinity Photoだと、
「HDR結合」 Serif
https://affinity.serif.com/ja-jp/tutorials/photo/desktop/video/310332886/
3DCGではHDRI環境マップ(擬似的な環境を再現するデーター、あるいは光線の状況をシュミレートする)を作成するため、この機能はごく普通に使われます
なお、カメラがスマホの場合、自動HDR機能をオンにするだけで、そこそこ上手くやってくれることもあります。
まあ、こうした面倒なことをするのは、窓の外の景色が露出オーバーで飛ばないようにするのさ。基本は俺HDRきらいだけど、こういう撮影では、ブラケット撮影とHDR合成は役に立つんだよ。
4:動画6:38あたりから、Jeffに言われたことだけど、こうした窓のある建築内装で大事なことは、室内をライトで照らす=照明を炊いて明るくすることなんだそうだよ。(当ブログ補足:室内灯をともしてもいい場合もあるし、場合によっては、写真や動画専用のストロボやLEDライトなどで照らすのもあり.この動画で紹介されているJeffはプロフォトのバッテリー式ストロボを室内を明るくするために使うことがほとんどの人ですが、人によってはストロボやLED、HMIは一切使わい主義の人もいる)、よく晴れた日を待つ(当ブログ補足 映画などでは、天候に左右されないよう発電装置を持つ電源車を持ち込んで超強力な人工太陽を作る場合もある。写真でもベランダにモノブロックストロボなどを設置して擬似的なはれの日を作る場合もある。ただし広い邸宅のリビングでは費用的にははれの日を待つのが無難)。
てなわけで、日光が窓から十分に入る時間までまって、部屋の照明もともして、撮影したんだ
Jeffは、できるだけ線が真っ直ぐになる位置(パース歪みのこと、広角レンズで起きやすい)で撮影しろと言ったんだ、まあ建築写真家は、そういうのを補正でくきる交換レンズのアオリレンズとか持ってて普通だけど、僕は持ってないから、パースが歪まない位置を探して撮影した(当ブログ補足 パース歪みは、画像編集ソフトのアオリ補正などの機能で補正することも可能だが、画像の一部がトリミングされる副作用もある。他にも縦位置で撮影して真ん中だけでトリミングする手法もある。またスマホのIphoneなどのカメラでは、広角レンズによるパース歪みを、スマホで勝手にかなり自動補正してくれる機種もある)
動画7:48からは撮影位置とアングルについて解説、人間が見る位置からの写真がいちばん大事なので、三脚は目の高さに合わせたよ(当ブログ補足 すなわち建築メインの人は、目の高さまで伸ばせる三脚が必須だし、住宅の床を傷めないようにゴム足の三脚のほうが好ましくなったりする。なお人の身長は異なるので、平均的な身長の人の目の位置の高さがいい。また通常かがんで眺めるだろうという場所では、目線をその位置まで下げて撮影するのも常識となりますね)
角度を見てると、特に広角レンズに起きやすいパース歪みが出ないように、アングルは水平に近いのがわかります(当ブログ補足:一応水準器などを持っていくといいでしょう。カメラ専用品は高いので大工さんの水平器が安くて性能もいい。最近はバカが書き込む=価格コムとかで、水辺は写真の基礎だと書きたがるのがいますが、建築、記念撮影、肖像画などでは必須ですが、あくまでも一般論としての基本でしかなく。そして、他のジャンルで水平が必ずしも必須でない写真に水平が~と騒いでるのは、逆の意味で馬鹿です まあ、5ちゃんの飛び地が価格コム、という話もありますから、アホが講釈したがるのがネットのカメラ界隈ということでよいかと)
この後、しばらく本人の宣伝があり、
5:動画12:45から、今回撮った写真は、ブラケット撮影をしているため、数回露出を変えた撮影をする間に動いたりするものがあると、変な具合になることもあるが、気にならないものならそのままにしておけばいいし、気になるなら、スイッチを切っておくことを推奨、
また、室内のライトと、太陽光は、色の成分などが異なるため、室内光に当たる部分にバナナなんかおいたまま忘れてると、バナナが緑かぶりしたりするので注意しようと
6:動画13:38あたりから、14-24mmと20mmレンズを使ったけど、20mmレンズが一番しっくり来たね。大部分は20mmで撮影したよ。14mmになると、悪くはないけど、余計なもの写って、少し難しいかもね。(当ブログ補足 建築というと、まあ一番しっくり収まる焦点距離は、フルサイズでの焦点距離20ミリという人が多いです。 住環境が異なる日本だと、部屋が小さいので、20mmよりもう少し広角があってもいいかもしれない。まあ日本でも20mmが一番しっくり来ると思いますけど。なお、フルサイズでの20mmの話ですから、APS-CやDXだと13mmか14mmになります)この辺は撮影現場によっても異なるので、一本だけ持っていくとなると、広角ズームのほうが単焦点より活躍できそうです。**日本の建築写真家も似たような動画やってたりしますが、家が小さい理由で、フルサイズでも11ミリあればいいかなと言う話をする人はいます。ただ、日本の人は、何をしたいからこう撮るというポイントをはっきりさせず、全体に漫然とした話し方をする人が多いのので、どうも解説が初心者にはしっくりこねえだろという動画が多いですね。
アングルや構図などは、Jared Polinの今回の動画撮影でアドバイスした、建築写真のプロ
Mike Kelley
https://www.mpkelley.com/
Jeff Totaro
https://www.jeffreytotaro.com/
のサイトの写真や、
インスタグラムなどで、いいと思った写真を見て勉強してねということですw
建築や内装撮影などの場合、超広角レンズはパース歪みが出やすいので、水平垂直をしっかりして、被写体にまっすぐ撮影すると、落ち着いた感じの写真になります 。*逆に広角歪みを出すためにアングルを傾けるのもありですが、建築内装とかは、できるだけ直線は直線で表現したほうが良く、意図がない限りそれは避けたほうがいい
まあ、以下の例が超広角レンズの、街撮りなどでの使いこなしの秘訣
「Nikon Ai AF Nikkor 20mm f/2.8D」フォトヨドバシ
http://photo.yodobashi.com/nikon/lens/aiaf20_f28d/
脚注
*1ライカや、中判のPhaseOne, fujiのGFXのように、Jpegのカスタム設定機能が貧弱なカメラなら、KenもRawで撮影します。特にPhase Oneは、プロしか使わない前提で販売されていますので、Jpegの撮って出しカスタマイズ機能はないに等しく、Jpegで撮影したものを後調整してもいいのですが、基本はRAWで撮影、RAW現像となるわけです。まあ、この意味ではプロはRAWで撮影というのはあたっていますが、中判カメラあるいは大判カメラでの商業撮影が基本だったフィルムカメラのときとは異なり、デジタル・カメラでは商業もフルサイズカメラが主流になり、大判や中判カメラの出番が少なくなった現在では、中判デジのPhaseOneを使わないといけない撮影は、建築、物撮りなどではまだ結構あったりしますが、それもプレミアクラスの撮影の時でしかなく、一般的な用途や、その他のジャンルによっては、中判大判ほぼ壊滅の現在は、デジ中判の利用率はそれほどないです。
ニコンやキヤノン、ソニーA1以降の機種は、好みでJpeg撮って出しのプリセット機能があるので、下手なRAW現像する理由は、Kenにはないということ。逆に自分の好みに設定できないから、人物写真以外はFUJIは使わないという合理的な発想。また、Jpegのレタッチでの劣化は過剰に誇張されていたりして、JPEGの劣化は、画像編集ソフト側が、JPEG画像規格に従わず、「いたずら」をしているときに起きるほうが多いということも忘れてはいけません。
*2 動画の場合は窓の明るさを減らすため、シート状のNDフィルターを窓ガラスに貼り付けたり、黒紗幕を窓の外に垂らしたりして窓の明るさを減らすことが普通に行われます。写真でももちろん有効なテクニック。
Jared Polinさんは、部屋の明暗差を解決するために露出ブラケットとHDR合成を使いましたが、Jeffさんがやるように部屋の内部をストロボなどで明るくする方法もあります
この撮影では、ストロボなどが、鏡やガラスなどに写り込まない位置から発行させるのが撮影の肝ですが、アシスタントにもってもらってますね
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JP
Architecture Photography Tutorial by John Nassari
さて、もう少し本格的に大型ストロボ(600w)も利用しながらの撮影方法
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One Light, High-End, Real Estate Photography
主に、ストロボの発光を天井にバウンスさせる、方法と、他のHDR合成などとの比較を紹介 居間なので、カメラの位置は立ったときの目線の位置より、かなり下にカメラが固定されていますね。
ストロボを天井バウンスさせる場合、天井が汚れたりしている場合、変な色かぶりが出る場合もあるので、大型のレフ板を天井の下に持ってきて、それに向けてストロボを発光バウンスさせるか、天井に白い紙を貼り付けたりするのもあり。白紙や布が用意できないときは、緊急で新聞紙を使うのもありです。
ちなみにこの人のHPは、
https://www.nathancoolphoto.com/
この人は、他にも建築写真での機材の選び方なども解説してますが(不動産屋の写真担当ならAPS-Cで十分だね、Iphone12もありだということです)
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Cameras and Lenses for Real Estate Photography
なんと彼が愛用しているのは、内観ではTokina16-28mm 2.8。プロの写真家なので、レンズは目的に応じて買い、使用する条件でベストなものを選ぶという選択なので、F6.3に絞り固定がルール(F8も使う)の彼には、素晴らしいレンズで数多くの高額案件もこなしてくれたレンズとしてます
*アマチュアほど一本のレンズで何でもしようとするため、色々苦手を探し出すことになり、このレンズのゴーストフレアとかが気に入らなく手放す人も出るわけです。
ですが、上のNathanさんは、建築写真の内装撮影という条件で使うレンズとしてこのレンズを愛用してます、ゴーストの出にくい内装写真の水平垂直を保持した固定アングル(使うアングルに奇抜なものがないタイプの撮影)、絞りはF6.3固定(とは言ってもF8も多用)、三脚を使用するのが常識、という条件で撮影する環境では、トキナー16-28mmは素晴らしいと、評価するわけです。値段がニコンの14-24mmの1/3くらいで、建築の内装という用途の仕事で使う条件なら、全く互角ということです。
また外の撮影も、ゴーストが出にくいゴールデンアワーや(マジックアワー)やブルーアワー(トワイライトアワー)に行うことが多いので、別にこのレンズでも問題がないとしています。そもそも、フィルターがつかないタイプの出目金レンズは、撮影環境によっては多少のゴーストはやむを得ないが、彼の撮影環境ではそういった状況がないので、このレンズは素晴らしいと。
**星空や、日中の風景写真とかだと、トキナーのこのレンズのゴーストとかがきになって手放す人もいるでしょう。Tokina 16-28mmは斜めからの光線でゴーストに弱いが、正面からの光線だと結構良い性能。
Nathanさんは、まあ、そうはいっても、外からの撮影や外観の撮影は、フルサイズでは20mmが一番しっくり来る焦点距離(APS-Cでは13~14mm)で、外観撮影は、単焦点の20mmrレンズ使うほうが実際は多いね
と、レンズは同じような焦点距離でも、使用目的に応じて最適なものを選び、変えるプロらしい話です
以下、Nathan Coolさんが、Tokina 16-28mm F2.8を使っての別の撮影講座
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Real Estate Lighting with Power
建築内装では、細かい水平調整が楽なギア雲台を使うことをよく推奨されていますが、彼が使うのは、自由雲台ですね。いわゆる小型のクリップオンストロボでは光量が足りないので、600ワットの大型ストロボを1/4パワーで使うくらいが丁度いいかなという話(部屋の広さで変わるので、参考程度)、ISO感度は320推奨(高額案件なら低感度+もっとストロボのパワーを上げることもあり得るわけです)ストロボを使うことで、 Jared Polin さんが最初の動画でやったような、露出ブラケット+後からソフトでHDR合成の手間がなくなり、一発で撮影できるとしています
まあ、どっちがいいかはケースバイケースですね