水中撮影でのホワイトバランスの設定:RAW現像(レタッチと混同してこの言葉を使う人がいる)や後処理(レタッチ)に頼るのは必ずしも正しくはない:赤フィルターの活用も視野に【水中撮影のコツと手引ガイド】

水中の撮影は、やや特殊条件になります。太陽光に含まれている多くの色成分が吸収され、特に赤が水中では少なくなり、深く潜るほどに色が青くなっていく世界。水深でも色が変わります。

というわけで、ホワイトバランスWBがコロコロ変わる環境のため、RAWで撮影して、あとからRAW現像、あるいはJPEGでの後処理=あとレタッチをしようと考えるのは当然ですが、

RAW撮影であれば、あとからどうにでもRAW現像とレタッチで解決と考え込んで、撮影後の画像編集レタッチに頼るのは必ずしも賢明ではないとするのが以下の記事。

The Importance of White Balance and Underwater Photographyホワイトバランスと水中撮影の重要性

October 14, 2019

News Droid

North Sulawesi Watersports Association

色温度の変化は、そこにある光線の青成分と赤成分の比率で変わっていきます

White balance is a concept of color temperature. Color temperature is a way of measuring the ratio of blue light and red light within an image. A light with higher color temperature (more blue) will have a higher Kelvin value, while light with a lower color temperature (more red) will have a lower Kelvin value. A color temperature of 5500 – 6500 K is average daylight.(North Sulawesi Watersports Associationより)ホワイトバランスは色温度の概念です。 色温度は、画像内の青色光と赤色光の比率を測定する手段です。色温度が高い (青が多い) 光は【色温度の指標の】ケルビン値が高く、色温度が低い (赤が多い) 光は【色温度の指標の】ケルビン値が低くなります。 5500 ~ 6500 K の色温度が、平均的な【昼間の太陽光線の】昼光です。

水中では青以外の色成分が届かないので、青の世界になります。

人間の目は脳内で、できるだけ白は白に見えるように実際の色を補正しますが、カメラはそうした補正を完全にはできないので、人間の方で、白に見えるようにカメラの方に、適切なホワイトバランスを教える必要があります。特に水中のような特殊条件では

The best choice is to use the ‘custom’ white balance setting and import the data manually. …(North Sulawesi Watersports Associationより)最良の選択は、「カスタム」ホワイト バランス設定を使用し、【水中でのホライトバランスを】データを手動で【カメラに】取り込むことです

カスタム(手動)ホワイトバランスがない機種では、ホワイトバランスを曇天・あるいは水中モード(オリンパスなど一部のメーカーにはある)を使えといいます。

カメラ内蔵のAWBオートホワイトバランスを使うのは賢明な手段ではないと

Automatic white balance is not a solution for shooting underwater unless accompanied by external strobes or video lights. (North Sulawesi Watersports Associationより)自動ホワイト バランスは、外部ストロボまたはビデオライトを使用しない限り、水中での撮影には適していません。

水中でホワイトバランスを手動で取るには、白いものを基準にそれを画面いっぱいに写し込むことで、白い板などのものを持っていくのが良いと推奨。太陽を背にした位置でホワイトバランスを取る

水中では、水深の深さで色がコロコロ変わるので、こまめにホワイトバランスを手動で設定し直す作業が必要と

On average, it is recommended that you reset your custom white balance at around every 10 – 15 feet.(North Sulawesi Watersports Associationより)平均して、約 10 ~ 15 フィート【3~4.5m】ごとにカスタム ホワイト バランスをリセット【再度ホワイトバランス手動設定】することを推奨。

こまめに水中で、手動でカスタムホワイトバランスを取る以外の方法はないか?という話になりますが、

Using external light sources such as video lights and strobes also combats color loss. Another option that is particularly useful is an external red filter (see image below). By shooting through the red filter you are manually adding red to what your camera would otherwise “see” underwater.(North Sulawesi Watersports Associationより)ビデオライトやストロボなどの外部光源を使用することで、【水中での青以外の】色落ちが防止できます。 特に便利なもう 1 つのオプションは、赤色のフィルターです (下の画像を参照)。 赤フィルターを通して撮影することで、カメラが水中で「見る」ものに手動で赤を追加します。

ストロボやライトを水中に持ち込むことで、水で遮られて届かなくなっている各種色成分を水中に持ち込めるため、青色の世界になっている水中の光景を、水上の色の状態に近くできます。*ストロボやライトを使う場合は、ホワイトバランスはオートホワイトバランスか、うまくいかない場合太陽光、あるいはフラッシュの選択、もしくは5500ケルビンが一応の目安

ただし、水中では、水が赤や黄色を吸収するので、近い距離でないとライトやストロボは効果を発揮しないことに注意

さて、赤色フィルター

写真用の赤フィルターは、もともと白黒写真でコントラストを高くしたり、三色分解のデーターを得るためのものですが、水中撮影で使うと、水に遮られて届かなくなっている赤色の成分を、補うことができるので、水中写真の青みが取れるという理屈。ただ、赤フィルターをつけると、露出倍数がかかり、ISO感度をあげないといけないとか、絞りを開けたり、また、光学ファインダーの一眼レフでは、ファインダーが真っ暗になるので、電子ファインダーのコンデジか、ミラーレスカメラを使うのが良い。

RAWやあるいはJPEGで撮影して、あとから画像編集ソフトで色を弄くるという手法は、この記事ではあまり推奨していません

It is important to note that some basic editing programs allow you to increase the amount of a color in an image, but not add in a color that isn’t there in the first place. So if you have images taken at 20 meters with no red in them at all, it may not be possible to add any in. For these reasons, it is always best to try and solve as many problems as you can while shooting, rather than relying on post-processing which can lead to unnatural or exaggerated looking images. Post-processing is actually another skill in itself! North Sulawesi Watersports Associationより)一部の基本的な【画像編集】編集プログラムでは、画像内の色の量を増やすことができますが、【そういったソフトでは】そもそもそこにない色を追加することはできないことに注意することが重要です。 そのため、20 メートルで撮影した画像で、【その深さだと完全に見ずに遮られる】赤がまったく含まれていない場合は、【画像ソフトで赤色を】追加できない可能性があります。 これらの理由から、不自然なまたは誇張された画像につながる可能性のある後処理【】RAW現像やレタッチに頼るのではなく、撮影中にできるだけ多くの問題を解決しようとすることが常に最善です。 後処理【ポストプロセス・画像レタッチ】は、実際にはそれ自体、【写真撮影とは別の】別の技能なんです。

画像ソフトでの色の調整項目は、写真に含まれている色成分の強さを調整して、好ましい色に仕上げ直す原理の事が多いですが、水深20メートルくらい以下で撮影した写真は、特に赤の成分が殆どなくなっているため、画像ソフトは、まんべんなく各色の色成分がある状況で撮影されたものを前提に調整するように作られているので、特定の色がなくなっている水中の撮影写真とかの後処理だと、うまく機能しない場合もあるわけです

というわけで、もともと、特に赤の色成分が水に遮られた、青が支配する水中で、RAWで撮影しても、赤色の情報が欠如したままなので、画像編集ソフトのレタッチなどのあと編集では、ちょいとトリックを噛まさないと正しい色が再現しにくいことがあり、RAWで撮影するにせよ、撮影時にできるだけ正しいホワイトバランス(AWB)をこまめに手動で取るほうが、あとからのレタッチが楽になる

まあ、後処理で、赤とか、色んな色のカラーレイヤーをかぶせて、色を足し、そこからまた調整するとか、工夫はできます。でも、かなり面倒な工程で、時間もかかり、そこそこ上手く言っても、どことなく不自然な感じになることもあるので、後処理にたよって水中撮影をするより、面倒でも撮影時にこまめに手間をかけるほうが結局は楽ということです。

まあ、撮影時に手間を掛ける場合でも、Jpegではなく、好みでRAWで撮影、あとからRAW現像+レタッチ(ポストプロセス、後処理)するのは一向に構いませんけどね