カメラの基礎知識 カメラの防水性能が高いと内部基盤は腐食故障しないのか?
防塵防滴のカメラなら、内部機構が水分で腐食して故障することはない。メーカーによっては防塵防滴に配慮した設計ですと、あくまで簡易対策なので過信するなと明記してるのに、クレームしてる人がいます。
ところで防塵防滴が完璧なカメラなら、雨の中に持ち出さない限り、内部基盤が水分で腐食することはない?都市伝説です。
正解は高性能の防滴防塵を施したカメラでも結露で内部基盤が腐食したり錆びることは普通にある。
どんな性能の良い「防塵防滴」のカメラだろうが、内部の水蒸気が結露して腐食する可能性があります。
防滴防塵構造では、カメラ内基盤部分を真空状態にしてあるわけではないので、液体の水を弾くことはあっても、空気は入るのですから。チリ以下の小ささの水蒸気は入り込みます。またレンズ付け替え交換等 でも簡単に水蒸気が入ります。
気温が極端に変わる場所を移動していたり、湿気の多いところで、夜急激に冷えるとか、寒い場所からカメラをむき出しで暖かい部屋に放り出せば、カメラ内部の空気に含まれる水蒸気が水分となり、それが原 因で基盤が腐食したりショートしたりで故障することがあります。
気温差が激しい場所を移動する際は、レンズには結露ヒーターが売られています。レンズもー防塵防滴構造でも、気温差の激しいところを短時間で移動すると、レンズ内部の水蒸気が結露しちゃから、レンズヒーターで水蒸気が水分とならないようにレンズを温めるわけです。
当然カメラもむき出しで外気に当てるのではなく、カバンの中に入れたまま、時間をおいて徐々に気温や室温に慣らすなどの工夫 がいります。
というわけで、カメラ本体のなんちゃって防滴防塵機能よりはるかに密閉度の高い、防水性は比較にならないほどよい、きちんとしたメーカーの水中撮影ケースや防水ケースなどには、防塵防滴どころか完全な密封式ですが、結露による水滴によって 撮影ができなくなることを、注意してあります。対策は、防水ケースにカメラを入れるとき、水中に潜っての撮影だけではなく、陸上の豪雨の場合も、相応の除湿剤=シリカゲルを入れておくことが、半ば常識と されています。
いくら密閉してもその中の空気の水蒸気の結露は、特にアウトドア撮影が多い人は、少し油断すれば必ず起きるということです。
また優れた防塵防滴性能があるからと言っても、「簡易防水」でしかないので、水際、滝壺の近くとか、海で波かぶるかもしれないような波打ち際そばの撮影で防水ケースなどの防水対策なしでむき出しのカメラを使うのは、よほどのニュース現場に出会った以外は、基本アホのやることです。カヤックとかでの川下りでも、同じこと。
そもそもストックフォトでは、報道写真のように雨、豪雨の撮影は殆どありませんし=報道系とは異なり、商業素材写真では雨や曇の風景写真は売れ行き悪いから、雨の中の撮影あっても急いで撮影する必要もないので、雨の撮影ではきちんとした防水かっぱやレインカバー、川や海に入っての撮影は防水カバーをしましょう。
最近、カメラマンが自分の贔屓メーカーを引き立てたいのか、わざと雨の中でむき出しのカメラを使ってみせる動画等が出ていますが、どこのメーカーもあくまでも緊急時の短時間での緊急性能的な扱いで、本来は非推奨の行為です。その場で壊れなくても、入り込んだ水蒸気による内部結露によりサビなど腐食を誘発することがあります。防滴パッキンのシリコンゴムも、経年劣化するので、完全防滴性能の維持には数年ごとにパッキン交換がいります、数年使って劣化した防滴パッキンのママだと防滴性能はどんどん落ちます。
ニコン カメラの取扱い注意案内より引用
D850 オンラインマニュアル
【急激な温度変化を与えない
極端に温度差のある場所に急にカメラを持ち込むと、カメラ内外に水滴が生じ、故障の原因となります。カメラをバッグやビニール袋などに入れて、周囲の温度になじませてからお使いください。」
【水にぬらさない
カメラは水にぬらさないようにご注意ください。カメラ内部に水滴が入ったりすると部品がさびついてしまい、修理費用が高額になるだけでなく、修理不能になることがあります。】
https://onlinemanual.nikonimglib.com/d850/ja/19_technical_notes_10.html
同じ説明はニコンの新型Z7の説明書にも出ています。
が、ネットにはずぶ濡れ何十回も耐え抜くニコンとか、ニコン支持者のふりをしてカメラを壊させようとしてるバカどもが溢れているので注意。
https://onlinemanual.nikonimglib.com/z7/ja/14_technical_notes_05.html
ニコンD5の説明書
ttp://download.nikonimglib.com/archive3/tZb5b004xnvY03vaO6r56EaExd79/D5FM_JP(Jp)05.pdf
にもXIIIのページに同じ注意、事故や故障の原因となるので水に濡らすなとあります。
キヤノン 1DXII説明書21pより引用
「● 製品を水に濡らさないでください。万一水に落としたり、内部に水または金属等の
異物が入った際は、速やかに電池を抜いてください。火災、感電、火傷の原因とな
ることがあります。」
同23pにも同じ注意があるので引用
「カメラを寒いところから、急に暑いところに移すと、カメラの外部や内部
に結露(水滴)が発生することがあります。カメラを寒いところから、急
に暑いところに移すときは、結露の発生を防ぐために、カメラをビニール
袋に入れて袋の口を閉じ、周囲の温度になじませてから、袋から取り出し
てください」
ttp://gdlp01.c-wss.com/gds/1/0300023011/01/eos1dx-mk2-im-ja.pdf
防滴防塵性能があるからといって、シャワーで水をかけてみたり戯れにバカなことをするのはやめましょう。あくまでも緊急時にごく短時間の間、カメラがその場で故障を発生させないための機能です。防滴防塵機能は、その撮影が原因でしばらくしたら内部基盤がサビだらけになってもいいという、カメラよりその瞬間が命の報道カメラマンのための機能です。