ハーフNDフィルターとRAW現像レタッチの合せ技【風景写真撮影基本知識】ハーフNDフィルターは望遠レンズほど効き目が弱まる
ハーフNDフィルターは、夜明けや、夕暮れの空と地面の明るさが異なるときに、その明暗差を埋めるために、空を暗くすることが主な目的で作られたフィルターです
最近では、デジタルカメラのダイナミックレンジ向上や、レタッチソフトの機能充実で、RAWで撮影、あとから現像とレタッチを行うという方法のほうが盛んになっています(RAW現像をバカにする当ブログですが、必要なときはもちろん使えばいいのです)まあ、Jpegでも、露出をアンダー気味にすれば、そこそこうまく再現するソフトも最近はありますので、RAWで撮影しなければいけないとは言い切れません
また、ハーフNDフィルターと、RAW現像+レタッチで、効果を倍増させるのもありです
さて、
ハーフNDフィルターは各種ありますが、ND4くらいですむような撮影しかしないのなら、ハーフNDフィルターは必ずしも必要はない時代とも言えます
さて、米国の主に野生動物を撮影する写真家Thom Hoganの指導記事
15 — Landscape Two-fer
Thom Hogan
https://www.bythom.com/technique/teaching-points/14–landscape-two-fer.html
With virtual graduated filters now built into Lightroom and almost every other post processing product that people use these days, I often get asked whether or not it’s still useful to bring them into the field. Yes, absolutely(上記Thom Hogan)Lightroom や、最近人々が使用しているほぼすべての後処理製品には、仮想ハーフNDフィルターが組み込まれているため、ハーフNDフィルターを現場に導入するのがまだ有用かどうか、私はよく質問されます。 はい、絶対に有効です
と、実例を記事で解説
ハーフND8を持っていっても、地面と月の明るさを調整できないだろうが、
ハーフND8フィルターを付け、更に全体の露出を-3段として、後からRAW現像処理で仕上げるという方法を紹介
RAW撮影でも、撮影時、空の明るい部分を6段も下げると、現像ではおかしくなるので
空の部分を-3段暗く(露出アンダー)にするために、ハーフND8フィルターを用い、更にRAWで全体の露出を3段分アンダーにすることで、
RAW現像で無理がかからなく、良い写真ができるという合わせ技の紹介(最近は高性能なJPEGレタッチソフトもあるので、JPEGでも構わない場合がある)
最新のソニーセンサーの機種なら容易だと言います(古いデジカメらなら要注意)
Thom Hoganは大部分、ソフトタイプのND4フィルターを使うが、その他の濃度のも持ち歩くと記事では説明
ハーフNDフィルターの注意点としては、望遠レンズほど効果が低くなることです
Filters in Photography 101 写真撮影におけるフィルター
Thom Hogan
https://www.dslrbodies.com/accessories/other-accessories/filters-in-photography-101/
Telephotos don’t work well with graduated NDs. Graduated NDs work decently with wide angle lenses because the depth of field still keeps the transition area relatively distinct (more so at small apertures than at wide apertures, obviously). With a 200mm lens, though, even the hardest edged filter transition becomes amazingly soft due to depth of field blur. 望遠レンズはハーフNDではうまく機能しません。 ハーフNDは、被写界深度によってピントがボケていく領域が比較的明確に保たれるため、広角レンズで、適切に機能します(明らかに、絞りを開けたときよりも絞りを絞ったときが顕著です)。 ただし、200mm レンズを使用すると、最もハードなエッジのフィルタの【暗い部分と透明な部分】境界線でさえ、被写界深度のぼけにより、驚くほどソフトになります。
ハーフNDには色々種類があり、暗い部分と透明な部分がはっきり二分されているものがありますが、望遠レンズを使うとボケ効果で、その境界線がぼけ、ハードタイプのハーフNDフィルターでも、ソフトハーフNDを使ったようになると指摘 まあ思いっきり絞れば、多少効果は強くなりますが
英国の写真家Karl Taylorは400mmレンズを使った夕焼けの撮影光景を見せていますが、
動画1:10 から望遠ズームの前に、2枚もハーフNDフィルターを重ねている光景がありますが、
太陽が明るすぎるという他にも、望遠レンズだと、ハーフNDフィルターの効果が落ちるので2枚重ねにしたとも言えます
動画1:53 で、使っているのは400mmにズームにしたレンズだと説明があります
Taylorさんは、望遠レンズになればなるほどハーフNDの効果が薄くなるということを動画では解説していませんが
ハーフNDフィルターは空を暗くするフィルターという固定概念を持たないこと
上の記事を書いたThom Hoganは若い頃、紀行写真家のGalen Rowell(https://www.nationalgeographic.co.uk/photographer/galen-rowell)に色々教わったことがあり、ハーフNDフィルターは、空を暗くするためのものだと、思いこんでいたThomに、Galenは、「地面を暗くするのにも使えることに気が付かないか?」と諭し、
思いついた、Thomは
アフリカの大地の夕方、草原の象たちと地面をシルエット風に真っ暗にするために、ハーフNDフィルターを用いることを思いついたと言います
角型フィルターのサイズについて
28ミリくらいまでの広角までしか使わないなら、コッキン(Cokin)のPシリーズが安上がり、小さいサイズなので、24mm以下の広角ではケラレが出やすいのが難点(相性もあるので、レンズによっては17mmでもけられない場合もある)解像とかを重視しない色付けなどの目的の場合は、中国製の安いコッキンP互換フィルターがたくさんあります 英国ではKoodという会社が、コッキンPシリーズの互換品をうっています
広角レンズや大口径レンズを使うのなら100mm幅、あるいは150mm幅の大型角型フィルターを使いましょう コッキンZ、NiSi、Kani、Lee、ケンコー・トキナー、Singh-Ray, Tiffenなどがあります
プラ製かガラスか?
2400万画素以上になると、プラ製はやや解像が劣化する、ゴーストにやや弱い プラ製のNDフィルターは、特に赤外線の感度が強いデジタルカメラで、マゼンタの色かぶりが出やすい(ただし夕焼けや日の出の空では、空をいい塩梅に色付してくれるというアバタもエクボになる場合がある)
まあ、安くて軽く、なくしてもダメージ少なく気軽に使えるので、厳密な解像がいらないなら中国製プラ製もありです
角型NDフィルターを使った風景写真のテクニック。景色とハーフNDフィルターの形が噛み合わないときに使う風景撮影テクニック【撮影時に覆い焼きを行う】英国のプロの解説動画