ニコンやキヤノンにはPC-E とか TS-E とかいったアオリ専門のレンズがあります。 ニコンのPC-E 24mm とか キヤノンはTS-E 45mmとかの名前で売られています
[PY] フォトヨドバシ CANON TS-E24mm F3.5L II | photo.yodobashi.com
http://photo.yodobashi.com/gear/canon/lens/tse2435.html
アオリレンズとはレンズを上下左右にずらしたり(シフト)、斜めとかに傾ける(ティルト)特殊レンズです。
シフト機能のあるレンズは、ニコンキヤノンのほかにはウクライナのArax(ウクライナ製にしては高い), Hartblei(ウクライナ製にしたら目の玉が出るほど高すぎ)があおりレンズを作っていています。
https://www.hartblei.com/
そのほかシュナイダー製のドイツ製高級タイプが一時期ありました、蛇腹など応用の大きなアクセサリーがZork, horsemanなどからもでています。
一眼レフ用のアオリ機構搭載レンズはニコンがはじめに作ったようです。
ここではアオリレンズのシフト(それ専用のレンズはシフトレンズとも言われる)の機能を取り上げます
*シフト機能について参考
【山形豪・自然写真撮影紀:アオリレンズをフィールドで使う – ITmedia LifeStyle】http://camera.itmedia.co.jp/dc/articles/1309/27/news106.html
【ニコンDfでアオリ撮影用「PC-Nikkor」新旧3本撮り比べ】糸崎公朗(2014/1/23 08:00)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/labo/631621.html
【FD 24mmF1.4 S.S.C. ASPHERICAL シフトアダプターで建築撮影に挑戦】輸入代理店新東京物産株式会社のブログ http://www.tokyotrading.jp/blog/201510_lens01/
こうしたアオリレンズでシフト機能(上下左右にレンズを動かす))は
1:広角レンズで形がゆがんだ建築物をまっすぐに補正したり、
2:室内に鏡があって、撮影するとき、カメラマンとカメラが写りこんで邪魔なとき、カメラマンが左側により、レンズのシフト操作でレンズを右側に動かすことによって、カメラマンとカメラが鏡に映りこまない といったテクニック
3:シフトで左にずらしたもの、右にずらしたものをフォトショップなどで合成して超高画素パノラマ写真を撮影するステッチ撮影の道具にする。(上下縦方向でも応用できます)
などで使われます
といってもデジタル時代なので
(1)の用途であれば、フォトショップなどで補正加工もできますし*a
そのほか、広角レンズで上下を広く取って、撮影し、トリミングで真ん中だけを切り出す。高級住宅のカタログでもなければ、これで大部分間に合うことがほとんどでしょう。
*この方法は下に紹介されてます
http://prokizai.heteml.jp/topics/?p=163
*オリンパスのカメラではカメラ内でコンピューター加工で、シフトレンズで撮影したかのように加工する機能がついたものもでています。参考記事『Ver.2.0からの新機能「デジタルシフト」を解説 (OLYMPUS OM-D E-M1)Reported by 礒村浩一(2014/10/3 07:00)』 http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/minirepo/669689.html
(1)の手法は、ポートレートで広角レンズや標準レンズで撮影するとき、足を長く見せたり、短く見せたりするといった撮影にも応用できますが、アイドルグラビアとかの加工はフォトショップでのデジタル加工が主流になってきているので、絶対にシフト機能がついたアオリレンズがいるわけではないんです。建築写真には、シフトレンズが必須なときもある、が正解でしょう。
フォトショップで建物のゆがみを補正すると、大体画素数が30パーセントから半分失われて、「劣化」するわけです
*参考【進化した「レンズ補正フィルター」① 写真・解説:竹澤宏】
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/photoshop/8199.html
より買いやすい画像編集ソフト・コーレルのPaintshopにも同じ機能はあります
http://www.paintshoppro.com/jp/learn/psp-x2-slope-distortion-1.html
ソフトでやると画素数が減ったり画質が劣化するわけですが、アオリレンズで光学的にシフトをかけても周辺部分には光学的な解像度の落ち込み・色収差の増加、カメラ内蔵露出計がオーバー側に暴れるなどの劣化が生じます(シフトによる光学的な劣化は、上の参考記事で上げた・【ニコンDfでアオリ撮影用「PC-Nikkor」新旧3本撮り比べ糸崎公朗(2014/1/23 08:00)】の実験を参照されたし)。
現在ではデジタル補正、光学的なシフト動作による補正のどっちがいいというのではなく、機材を持っていける条件なら、両方をうまくミックスさせてバランスよく使うというのがよいでしょうね。アオリレンズのシフトで大体の補正をして、フォトショップなどで仕上げるのが、一番画質がいい結果とも言えそうです。
(2)の機能も、撮影する被写体にもよりますが、写りこんだカメラマンとカメラを後から消しちゃうのは、フォトショップで手間はかかるけど丁寧にやればできないわけでもないし、参考「写真から不要なオブジェクトを削除する」 https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/how-to/remove-object-content-aware.html
(3)の機能も普通のレンズでも、自分で動いたりして撮影したものを合成パノラマにする機能を持ったカメラは多くあるし、ステッチ撮影用雲台で代用できないこともない。
そもそも建築物の資料的な撮影であればともかく、風景写真であれば、ビルの上側が若干すぼまって写る普通の写真のほうが、遠近感がでてより迫力が出たりするので、シフト機能を使っても、補正はほどほどにとどめたほうがいい場合もあります。
マイクロストックとかストックフォトでシフト機能がついたあおりレンズがいる場面は、実際はそれほどないですね。長期撮影旅行で一人旅だと、重くて大きなシフトレンズを持ち歩くより、軽量な通常のレンズを使って撮影し、フォトショップなどでのデジタル補正にお任せするほうが、現実的でしょう。
注釈
a:フォトショップなどの有料ソフトがなくても、直線の多い写真であれば、ビルの上がすぼまって写るパースの補正を歪曲補正まで含んで計算して修正してくれる無料ソフトがあります。
【REVIEW(12/02/28)建築写真のデジタルシフト補正に特化したレタッチソフト「ShiftN」】
http://forest.watch.impress.co.jp/docs/review/514917.html
個人的に、こうしたデジタルあおりシフト機能補正で一番使う機会が多いのは、有料ですがDxO ViewPoint 2というソフトです
http://www.dxo.com/jp/photography/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB/dxo-viewpoint-2%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%81%A3%E3%81%A6%E8%A4%87%E9%9B%91%E3%81%AA%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%AD%AA%E3%81%BF%E3%82%92%E8%A3%9C%E6%AD%A3%E3%81%99%E3%82%8B
デジタル補正ではなく、アナログ手法で比較的安値でアオリレンズのシフト機能を楽しむには
デジタルにしろアナログにしろ、シフト補正はそれぞれ画質劣化をするものなので、本ブログではデジタル手法だけで間に合うならそれでもいいし、両方をうまくバランスよく使うのがいい
という立場ですが。
※安い型落ちミラーレス一眼で、ニコンの中古レンズをシフト機能付マウントアダプターで使う方法【マイクロストックフォトならこれがレンズを使う方法では現実的かな】
最近ではソニーや富士のミラーレス一眼に、キポンのシフト機能内蔵レンズアダプターを介して、主にニコンの絞りつきの旧式レンズを(旧式レンズは機械式なので、いろんなカメラで使え、中古で安く、使い回しがしやすいので多用される。キヤノンやニコンの一部の最新の電子絞りのレンズを使うには高価な電子式アダプターがいる)、シフトレンズとして使うこともできます。マイクロストックフォトでアオリレンズというなら、ミラーレス一眼+キポンのあおりアダプター+古い主にニコン用の絞りリング付きレンズの組み合わせで絞って使うのが(ライカ用レンズを使えばおしゃれかもしれないね)、費用的には現実的でしょうね。仕事であっても、簡単な商品撮影くらいしかしない人なら、ソニーのフルサイズミラーレスに、ニコンの普通の一眼レフ用レンズをこのキポンアオリ機能付レンズアダプターをかませて使う人はいます(ニコンの一眼レンズをそのままフルサイズソニー一眼で使う場合、シフト量はどの方向も5ミリ位までが限界の模様。レンズによってはもっといけるものもあるでしょうけど。ティルトのほうはほぼ問題ないケースがほとんど)。
*キポンのティルトシフト両機能をつけたマウントアダプター
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/dressup/660971.html
3万以上という、ちょいと遊びで買うには高いかもしれませんが、1万五千円くらいで安価なシフト機能専用・ティルト機能専用タイプもあります。さらにキポンをまねた粗悪類似品だともっと安い場合もある(キポン以外の中華無名メーカーだと、ティルトシフトアダプターといっても、ティルト機能しかない粗悪品もあるので注意)。
【中古の大判カメラのビューカメラを転用】
あるいは、三脚絶対必要、でかくかさばるのがかまわい、75ミリ以上の望遠レンズを利用するのであれば(大判では75ミリでもフルサイズ一眼レフでは20ミリ相当の超広角レンズ)、中古だと安い大判のビューカメラの中古と、ドイツの古い世代の中古大判レンズ(もしくは日本製のコンゴーや、富士のフジノン、ニコンのニッコール大判レンズは中古で安い玉が出る場合もある。ニッコールSW65mmF4S / フジノンSW65mmF8 などね)+一眼レフアダプターなどの組み合わせでも費用的には安く代用できる。
http://www.mediajoy.com/mjc/original/view_adapter/view_adap45_eos.html
大判カメラを使うとこんな具合に、ぐねぐね動かせるので、アナログ手法だけであおり撮影するのであれば、大判カメラ+アダプターは最強ですね。ただし運搬・取り回しは最悪。
ただし、この大判レンズにあなたのカメラをつけるやり方は、望遠レンズは安く済む場合があっても、あなた方の使うフルサイズやミラーレス一眼で、広角レンズを大判アダプターでというのは逆に無駄。大判は銀塩大判フィルム用だと、スーパー超広角レンズでもドイツ製35ミリまでしかないので、それ以上の広角レンズをフルサイズや、APSの一眼やミラーレスで使うのは、大判レンズ利用では無理。そもそも大判用レンズで安く中古が買えるのは(フルサイズ換算20ミリくらいの)75ミリくらいのレンズまでで、現在販売されている最新設計のドイツ製大判レンズは一本で50万とか70万とか言う値段が平気でする、キヤノンLレンズが安物にしか見えなくなる値段しますし、大判カメラ用超超広角の38ミリとかスーパーアンギュロン38mm F5.6 XL、アポシロナーデジタル35mm4.5なんてのは全部生産が終わっていますし、中古でもいまだと一本20-40万くらいかなw(古いスーパーアンギュロン38mm F5.6 XLだとうまく行くと、B級中古10万くらいで中古ゲットできることもあるかも)。しかも大判スーパー超広角レンズの中古はほとんど出ない。
レンズアダプターや大判を利用するやりかただと、メーカーの専用レンズを使うわけではないので、レンズの自動絞り機能が働かないので、光学ファインダーより、絞りを絞ってもファインダーが暗くならない、電子ファインダーのほうが使いやすい。ミラーレス一眼のほうが向いてるでしょう。
ところで
最近は大判カメラは、広告だと、大判用のフィルムを使うより、中判デジタルバックを装着しての撮影が主体なので(中判デジタルバックより、フルサイズの一眼レフのほうが安上がり、かつ必要十分なケースなので普通のデジタル一眼レフが使われるほうが、回数としては多いし、商品撮影がいまや3dcgに置き換わった企業もあるので、現在絶対中判デジタルが必要なのは一部のジャンルです)、大判フィルム用ではなく、中判デジタルバックのための大判カメラ用だが実際は中判レンズの専用レンズローデンシュトック デジタルレンズの値段を見てみましょう
http://www.nationalphoto.co.jp/2F/items_digitalback_interface_sk_roden.htm
HRディガロンS 23mmF5.6 1,080,000円
↑ニコンやキヤノンの純正レンズがとってもお買い得に見える値段ですよね。ニコンのPC-E 24mm 3.5D とかキヤノン:TS-E24mm F3.5L IIの20万ちょいなんて安いもんです。TS-E24mm F3.5LIIの中古なら16万くらい、やすいやすいwTS-E24mm F3.5Lの初代は修理がそろそろできないため中古なら6万くらいであるしw
デジタル加工でアシストできないアナログだけの手法しかなかったシノゴと呼ばれるフィルム式大判カメラが主役の時代の
大昔のテーブルいっぱいの料理撮影には
大型大判ビューカメラ、90ミリレンズ(いわゆるフルサイズデジタル一眼で広角24ミリレンズ相当)、大型三脚(あんたがたが見たら化け物の超大型になるだろ)といった構成で目いっぱいティルトシフトをかけ(レンズがカメラからひん曲がったようにセットされる)
1200ワットの発電機(ジェネレーターとかジェネとか呼ばれた)とモノブロックストロボ2台
撮影する料理に発色の相性のよいフィルム(光源がストロボ以外の場合、いろいろな補正フィルターを組み合わせなきゃいけない場合もあった)
ストロボを使う場合、初めての場所なら、本番の前に実際どううつるかテストがいりますが、試し撮りは昔はポラロイド式フィルムしかなかったので、そのセットの知識。
なんて超大掛かりな撮影機材をくみ上げていたそうですが、そうした機材を保持している、機材の取り扱い、短い時間でのセットアップと撤収ができる、フィルムの種類の選択など、操作撮影するカメラマンはプロである必要があったのはそれなりの理由があったわけです。この部分は、大昔は情報もなく、写真学校に通うとか、スタジオとかで修行してみよう見真似でマスターすることしかなかったので、情報の寡占化による師弟制度を通じた悪い意味での閉鎖独占業界のような体質が出来上がった時代もありました。
でもデジタル作業で置き換えられる部分が多くなり、無料情報がネットで出回る、解説本が売られる時代で、素人でも時間をかけると真似事ができやすくなり、簡素化してきたため、以前のような料理撮影や記念撮影とかいった仕事で生計を立てられる人が減ったわけです。
いまどき本格アナログ撮影がしたいからといってここまでの労力に見合うギャラ出したい客はいないでしょうね。
光学アオリレンズを主体にする場合も、やはりデジタルのレタッチ補正の助けを適当に仰いだほうがいいのです。
シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・
アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影