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タグ: 合成

中判デジタルが無用になる日 ステッチ(=スティッチ)撮影の活用

「50ミリの望遠レンズで撮影したのに、超広角20ミリレンズで撮影したように広い範囲が写っている。遠くの景色を圧縮効果で大きくし引き寄せて迫力が出る。
これは中判デジタルならではの世界で、より小型のフルサイズやDX,APS,フォーザーズサイズのカメラでは不可能な世界。」

なんてのは教科書やメーカーの宣伝を疑いもなく丸暗記してきた暗記世代の弊害、銀塩嫉妬爺と呼ばれる人たちの固定観念。今はデジタル時代。分割撮影して合成という時代。

Brenizer Method(Bokeh Panorama と Bokehrama呼ばれることもある)と海外で呼ばれる、ステッチ(スティッチという書き方のほうが写真では一般的:どっちの表記も一緒)撮影は、パノラマ雲台もアオリレンズのシフトも使わず、手持ちで分割撮影を行い、後から合成して超高画素の写真を作る方法です。主に人物が雄大な光景の中にいる光景を手持ちで撮影記録するために使われる手法です。

https://www.slrlounge.com/workshop/wide-aperture-panoramic-stitching-shot/

上にあるビデオを再生していくと、分割撮影の最中、モデルの髪と、赤いスカートは風でひらひらしていましたが、1000分の一秒で撮影、パソコンのパノラマ機能でうまく合成されるので、出来上がった写真ではスカートは見事に止まっています。後の作例では、125分の一のシャッタースピードで、風でひらひらするスカートを撮影した例でもうまく合成されています。若干の動きならパソコンでうまく判断して繋いでくれるということです。もちろん失敗するときもあるでしょうけどね。このカメラマンは合成の不都合になりそうな場所をうまく避けながら分割撮影したともいえますし。*この撮影方法は、確認用のパノラマ機能を持つソフトが入ったパソコンを、現場に持ち込むのが無難なのは以前も書きました。

一般の風景でも応用できます。ただしカメラを振り回すので、むやみに偏光フィルターは使わないほうがいい(偏光フィルターを使う場合は、合成でムラにならないか、本番前に確認のテスト撮影推奨)。HDRかハーフNDをうまく使うなど工夫がいる


アマチュア投稿フォーラムのサンプル

http://photography-on-the.net/forum/showthread.php?t=1138306&page=103

100-200ミリ位の望遠を使ったほうが、直線の仕上がり等、失敗は少ないと言われますが、↑の上の方に、ボートハーバーの写真投稿している人は、35mm 1.4Lを使っています。まあ、広角レンズ使う人も少ないですけど。100ミリ以上の望遠が失敗する率が少ないと言われても、多くの人が85mmレンズとかの開放を使いたがりますね。

一般に、Breniser Methodを用いた手持ちだけでの分割=ステッチ撮影は、一枚にする合成過程でのパララックス=視差のトラブルを避けるため、モデルとの距離がある程度離れ、前景にもごちゃごちゃしたできるだけ邪魔なもの入れず、背景もぼかし気味の絞りを開けた条件の場合のほうが失敗が少ないです。

以下FLICKRから、作例を紹介(以下二枚の画像はFLICKRが発行し非商用ブログでの使用の許可する埋め込みコードを利用した、インライン表示で、正規の手続きで表示しており、不正利用ではありません・というわけで、本ブログの引用出典とか称して、まとめサイトにこれらの写真を表示すると、著作権侵害の可能性が高くなります。Two Pictures shown below are legally displayed by using the embedding code provided from Flickr.)

Lazy Summer Days はタムロン70-200mm 2.8の、望遠200mm 2.8で16枚の分割撮影で合成というステッチ撮影ですから、モデルとはかなり距離が離れていたことになります。 20140615_Brenizerは50mm 1.4レンズで60枚の分割撮影を行ったそうですが、アオリレンズもパノラマ雲台も使わず、手持ちのため、右の電子レンジ付近の直線にパララックス誤差が出ています。天井も変ですよね。手持ちステッチ撮影では、背景はシンプルなものを選んだほうが、合成ミスに悩まされない可能性が高いということです。また絞りすぎて背景をはっきりさせると、合成誤差の修正がめんどくさいので、絞りは開け気味がいいということです。

今回はじめて個人や非商用であれば、ブログ(やサイト)での表示を許可するFlickrの埋め込みタグを使って画像をインライン表示しましたが、インライン埋め込みを拒否する設定もできるのにしない人が多い、ただで喜んで個人の非商用であれば使わせてくれる人も多いわけで、マイクロストックが流行らなく理由もわかるわけです。

その他手持ちパノラマ撮影の応用によるポートレートの例がたくさん出ています。

Bike

手持ちステッチ=Brenizer Methodが失敗しやすいケースと代替案

近距離のアップのポートレートのステッチ撮影(もしくは部屋などで被写体の前にいろんなものがおいてある場合)は、あくまでも手持ちの手抜き分割撮影で、その後の合成で失敗しやすいケースも有る。

あ)撮影距離が近くなればなるほど難しい。超近距離=マクロ撮影という条件は特に。*3m辺りからパララックス誤差の影響や湾曲が、合成に与える間違いの確率が格段と下がりますが、風景とか建築で慎重を期するなら、6m位以上の距離を置くのがいいかと、

い)標準から広角レンズとレンズが広角になる(望遠になればなるほど少なくなる)。などが重なると、パララックス=視差の誤差(と広角レンズ独特のパース=ビルの上側が縮まったりすることが、広角レンズほど大きくなるので)から合成が失敗しやすくなる。また直線とか変な具合に歪んだりする。

その場合、パノラマ雲台やアオリレンズのシフト機能の出番です。

1)ノーダルポイント(視差=パララックスの補正のためにレンズの正しい回転位置を決める)を設定したパノラマ雲台の利用。手持ちの場合はつながるコマ同士で、半分くらいは写す内容をかぶらせたほうがいいというアドバイスがありますが、パノラマ雲台を使った場合もやっぱり30%くらいはつなげるコマと被った方がいい。

2)特に直線の真っ直ぐをできるだけ維持し、さら絞ったりする場合で、背景も前景きれいに後処理なしに合成したい場合はシフトレンズ(バックシフト(=レンズではなくカメラの方を動かす)が使えない、一般の一眼レフカメラ用のアオリレンズやアダプターで、レンズに三脚座がついていない場合、近距離でのパララックス補正がいる場合があります。この対処は、色んな方法があり、以前ここの記事に解説しました)を用いたほうが好ましい。


シフトレンズ(アオリレンズもしくはアオリ機能付きアクセサリー)ではなく、普通の交換レンズとパノラマ雲台、時として手持ちでPhotoshopのPhotomergeなどのパノラマソフトだけで高画質ポートレートを分割撮影から合成する方法

シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・

アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

Hugin無料のパノラマ作成スティッチ(ステッチ)ソフト

シフトレンズ(アオリレンズもしくはアオリ機能付きアクセサリー)ではなく、普通の交換レンズとパノラマ雲台、時として手持ちでPhotoshopのPhotomergeなどのパノラマソフトだけで高画質ポートレートを分割撮影から合成する方法

アオリレンズのシフト機能を使った分割撮影で、中判がなくてもフルサイズデジタルカメラ(やもっと小さいサイズのカメラ)でモデルを分割撮影し、後から合成で一枚にすることでもスーパー高画質の写真は作れることを書いてきましたが。

アオリレンズや、パノラマ雲台とか言った機材がなくとも、人物がいる光景の写真と、人物がいない光景の写真と言った具合に、左右に分割して撮影し後からパノラマソフトとかで合成するだけでも、ぶっちゃけ結構うまくいくケースもあります(本記事後半で解説)。

でも、立っている人物を頭、胴体、足と言った具合に分割して撮影して、それを合成で1枚の写真を仕立てる場合、アオリレンズのシフト機構や、普通のレンズをつけたカメラをパノラマ雲台の載せて撮影する方法のほうが失敗は少ない。

アオリレンズのシフトを使わず、普通のレンズ+パノラマ雲台を使う場合。

パノラマ雲台を使い、プレートなどで視差=Parallaxを起こさない位置にカメラを移動させ、そこを起点にカメラを回転させ分割撮影を行い、後から1枚の写真に合成する方法です。

視差=パララックスを起こさない位置は、ノーダルポイント(Nodalpoint)と呼ばれますが、それの設定方法は、パノラマ雲台と呼ばれるものを使って探します。
以下の記事参照

「 Nodal Ninja3 MkIIを使ってノーダルポイントを見つける~業務向けの高品質な360度パノラマ写真の作り方を紹介【第3回】」
http://www.dronediy.jp/2016/01/nodal-ninja3-mkii360.html

パノラマ雲台ではなく、もう少しかんたんなノーダルポイント設定用のスライダーを用いて、ノーダルポイントを設定する解説は、前の記事でも紹介した

「Lightroom 実践力アップ講座 第38回 Lightroom CCでパノラマを使いこなせ」解説:湯浅立志」

http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/lightroom/8909.html

の後半「合成の手間を省くためにできる撮影時の工夫」に解説が出てます

とはいっても、上に見るように正確なノーダルポイント設定が結構面倒で、きっちり調整したつもりが被写体の距離が違うと設定し直しとか、現場でぶっつけでノーダルポイント確認することも多くなります(遠距離(200メートルくらい)になるほど、適当か、まったくなくてもソフトの進歩で勝手に補正してくれるので大部分のケースでかまわないのだが、近距離でごちゃごちゃしたシーンになればなるほど、ソフトウェアで合成失敗する確率が高くなるので、撮影時にノーダルポイント設定をきちんとスべきケースが多くなり、設定が難しくなる)、忙しい撮影スケジュールだと、ほぼアバウトにノーダルポイントを決めることが多くなります。逆に事前に使うレンズのノーダルポイントがはっきりわかれば、アオリレンズのシフト機能より手っ取り早い場合もありますし、アオリレンズのステッチ(=スティッチ)で分割するやり方とは、出来上がりの合成写真は、背景の圧縮具合が違ってきます。

Creative Ways of Using Stitching (ステッチ合成の創造的なやり方)
12 Mar 2013
http://blog.reallyrightstuff.com/creative-ways-of-using-stitching/

には、モデルを頭から足まで五枚撮影し、合成した例がでてきます。

the Brenizer Method(Brenizer(http://ryanbrenizer.com/)という人が広めたのが呼び名の始まり。原理自体は19世紀から考案されていたが、アナログフィルムの時代は手間がかかりすぎて広くは使われなかった)と呼ばれる手法があります。

パノラマ雲台を応用(近距離になればなるほど手持ちは避けた方がいいが、実際のロケとかでは時間制約から手持ちで行われること多し)して、標準から中望遠レンズの開放あたりの絞りを使って、あたかも超広角の開放絞りでとったのように、しかも背景が望遠の圧縮効果で大きく見えるように見せかけるわけ(広角レンズで撮影した場合背景はもっと小さくなっちゃいます)。

人物以外の風景も大きく取り入れる場合、写真30枚ほどのステッチ分割撮影をノーダルポイントを設定したパノラマ雲台を用いて行い、広角レンズの24mm1.4とかでは絶対出せないボケの世界を演出する技法です。もちろん、中判無しでの高画素写真を作れるメリットもありますが、30枚の分割撮影をモデルが止まってくれている間に行うわけで、プロのモデルでも静止してるのは30秒位。手際よくやるのが必要。


アオリレンズを使う場合でも、同じようなボケではないですが、シフトと同時に逆ティルトをかけることで、広角レンズで絞ったまま、被写体以外をうまくボケさせることは可能です(背景は小さくなりますけど、練習がいる)。

広角アオリレンズ(Canon TS-ECanon 24mm ts-e f/3.5 II、45mm TS-E)で、ティルト機能で意図的にピントの位置をずらし被写体以外はボケるようにした例は下の記事など。
Creating Artistic Portraits Using A Tilt-Shift Lens June 19th 2016 1:00 PM

Creating Artistic Portraits Using A Tilt-Shift Lens

広角ティルトレンズの場合は、圧縮効果がないので、背景がビヨーンと間延びしますね。これはこれでいいのですけど。

また、アオリレンズならではの描写があり、下の画像のように手前のカップルと、後ろに離れた石垣にのみピントを持ってくる写真は、アオリレンズのティルト機能があってこそできる写真ですね。

http://www.slrlounge.com/wp-content/uploads/2016/06/jay-cassario-tilt-shift-4.jpg

(↑直リングでの画像インライン表示は不正利用ではないと日本の裁判所では判例がありますが、ネチケット的にインライン表示は、さけました。Youtubeみたいに向こうでインライン表示拒否設定をユーザーが選択する場合はともかく、そうでない場合は、個別に判断してます。サウザーネタみたいに相手の宣伝になり、向こうの利益にもなる、画像は小さい低画質のものと判断出来れば画像インライン表示することもあります)

 


ただし、Brenizer Methodは、撮影現場での制約から、パノラマ雲台も用いず手持ちで行うことも結構ある。モデルが止まっていられるのはせいぜい30秒ということを考えれば、3~5枚撮影ならともかく、30枚近くの分割をパノラマ雲台で行うのは逆に難しいから。視差=パララックスは被写体との距離が近ければ近いほどシビアになるので、手持ちの場合はモデルからある程度離れたほうがいいといえますね。


できるだけ失敗しない(特にパノラマ雲台を使わず手持ちでやる場合に重要)Brenizer Method(主にポートレートなどの撮影に用いられる)合成パノラマ撮影のコツは、

1)できるだけメイン被写体の前にじゃまになるものを入れない。

2)カメラを若干回転させるので背景のパースが変わりやすいので、背景をぼかして合成ソフトが多少失敗しても、ごまかしやすくしておくのが良く(あるいは単純な白バックなどを用いる)、絞りは開け気味のほうが成功率は高いようです。

3)中望遠から望遠レンズを使う フルサイズだと85mm使う人が結構いますが、失敗を減らすにはフルサイズカメラで100-200ミリくらいの望遠が最適。まあ、宣伝にヨンニッパ使ってる人もいましたがw手持ちの場合、長い望遠レンズを使うほど、視差=パララックス(Parallax)による合成失敗の確率が減る。逆に広角レンズになればなるほど三脚(トノーダルポイント修正がなされたパノラマ雲台)を使う方がいい→手持ちでは広角レンズ利用は距離が近い場合避けた方がいい

4)合成する隣のコマと、50%くらいの部分が重なり合うのが望ましい

5)PhotoshopのPhotomergeなど機能で合成する際、自動は選ばず、Cylindrical(シリンダー、円筒形)を選ぶほうがエラーが少ない(*この点はAUTO=自動の方がいいという人もいますし、フォトショップよりパノラマ専用ソフトのほうが精度が高いし、調整も楽と議論があります。自分の経験ではフォトショップより、パノラマ・ステッチソフトであるPTGUIのほうが精度も高いし、合成間違いをポイント指定で修正する機能など、レイアーをちまちま動かして修正するフォトショップより優れていると思います)

6)絞りは開放に近い絞りを選べ=あまり絞るな=明るい単焦点が望ましい(Brenizer Methodは広大な光景の中のポートレートを意識した場合に有効な撮影法なので、背景が飛ばすのが望ましいからということもありますが、手持ちの場合、どうしても起きやすい視差=パララックス=Parallaxの狂いや合成のちょっとしたエラーが、細かい背景の場合でやすいのをぼかしてごまかせる)ただし、絶対じゃないですので絞っていいいかどうかはケースバイケースで考えましょう。

7)ピントはメインのモデルなどで合わせてから、MFでピントを固定して分割撮影をする。モデルと離れたところから撮影し、もう一度モデルのところまで戻って来た時、手持ちゆえ狂ってないかもう一度ピントを確認。

8)露出は全コマ同じ露出でマニュアル固定。

 


実践方法の解説は

5 Steps to Rock the Brenizer Method. A Post By: Danielle Ness
https://digital-photography-school.com/5-steps-to-rock-the-brenizer-method/

さて、Brenizer Method実際はアオリレンズでもない普通の85mmレンズで、分割撮影して行われることが多いわけで、以下の動画に実例が手短に要領よく解説(引用ではなく、インライン表示です)、

(以下のシリーズは説明がかなり冗長ですね。)

この方法の場合、手持ちで撮影した場合、ミスでかけている部分が出るのは普通で、実際に合成素材撮影がうまくいったかどうかを確認するため、パノラマソフト=かPhotoshopを入れたノートパソコンを現場に持ち込んで、撮影後実際に合成できるかどうか確認できるようにした方がいいでしょう。

他にも手持ちで分割撮影→合成した例です

How to Make a Panoramic Portrait by Casey Cosley
March 13, 2017
http://blog.creativelive.com/creativelive-challenge-panoramic-portrait/

手持ちでさっとやっただけなので、背景の樹木が若干へんになってますが、ボケてる部分なので、目立ちませんし、言われなきゃ気が付きませんね。

 


シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・

アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

Hugin無料のパノラマ作成スティッチ(ステッチ)ソフト

シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・

現代ではアオリレンズと呼ばれる機能のうち、シフトと呼ばれる、主に広角レンズで発生しやすいビルの上になるほどすぼまったり、下ほどでかくなったり、モデルの足が短足になったりの補正は、アオリ装置で行うと、大掛かりな装置になりやすく、撮影時の手間・モデルとのテンポを考えると、超広角以外はパソコンのソフトのパース補正=アオリ補正とかいう機能で賄うほうが手っ取り早い時代になりました。

ただし、アオリレンズのシフト機能を用いれば、ステッチ撮影(Stitch, スティッチ、スティッチングと呼ばれることが静止画の方では多い)という複数分割撮影した画像から、超高画素の画像を生み出す撮影に役に立つ場合もあり、左側にモデルが居る場合、左にシフトした写真を撮影、その後右側にシフトさせて右側の景観を撮影。その後パノラマ作成ソフトや、PhotoshopのPhotomerge機能などで合成して、中判いらずの高画素写真を作ることもできます。モデルの全身写真でも動きにくい場所を起点として、同じように分割撮影して合成する方法もあります。


ただし、ステッチ撮影自体は、直線等が特に問題にならないなら、手持ちで普通のレンズが付いたカメラを水平・上下に平衡を保ったままに動かしていって、後からパソコンで合成するのでも、パソコンも賢くなっているので、そのあたりをうまく繋いでも、ぶっちゃけ結構使えちゃうので、アオリレンズのシフト機能は必ずしもいらない

レンズの歪曲データーがなくても、合成された写真から、うまく直線を判断して歪曲やパースを補正するソフトまである時代です ←室内で色々家具とかあるとうまくいかない場合がある。

【レビュー】建築写真のデジタルシフト補正に特化したレタッチソフト「ShiftN …

forest.watch.impress.co.jp/docs/review/514917.html

 

ShiftN

てなわけでステッチ撮影はシフトレンズを使ったほうがいい場合もあるのですが、建物のネジ曲がりとか歪曲とか細かいことを気にしない・気にならない光景なら、普通のレンズがついたカメラ自体を動かして撮影する方法もあります。シフトレンズを使った場合、三脚が好ましいという人もいますが、デジタル時代で高感度が平気で使えるので、壁などを支えにして手持ちで済ましても結構うまくいきます。

まあキヤノンの古いデジカメの時代から、デジタルでかんたん手持ちお手軽ステッチ撮影=合成大画像撮影の機能はあり、今でも解説が残っています。

「スティッチって何だろう? 」(←ステッチもスティッチも同じ意味です)
http://web.canon.jp/imaging/SOFTWARE/stitch/camera/what_is_stitch.html

というページで大昔のキヤノンの安物クラスデジカメで、シフトレンズなしにステッチ撮影する方法が解説。

http://web.canon.jp/imaging/SOFTWARE/stitch/camera/satuei.html
には、シフトレンズを使わないでステッチ撮影を行うためのアドバイスとして、
「スティッチのための撮影ヒント ★風景を撮影する場合は、なるべく近くの被写体を入れるのは避けましょう。 ★原稿を撮影する場合は、カメラを原稿面に平行に動かして距離を一定に保つよう撮影しましょう。 」(上記リンク引用)

まあシフトレンスとかを使わないでのステッチ撮影のコツは今も変わりませんね。


厳密に言えば、シフトレンズを用いる、カメラを水平に動かす、パノラマ雲台を用いて、カメラを回転させながら撮影する(カメラごとに動かす、あるいはパノラマ雲台の場合、被写体が200m位離れていればほぼ無視していいし、それ以下でもソフトの改良が進み実用の問題が出にくいことが多い)、場合、どの方法でも「状況によってはパララックス=Parallaxに注意する必要がある」場合もあります。

アオリ操作は本来はレンズを動かさず、カメラ側を傾けたり、上下左右に移動させるものです。シフトレンズを左右や上下にシフト移動した場合、大判カメラ(もしくは大判カメラやそれを模したビュータイプアオリ機構に一眼レフをアダプターで取り付けた場合)と違い、一眼レフ用のアオリレンズはレンズに三脚座がないので(アオリアダプターも一緒)、カメラを三脚につけるため、レンズを動かす形となり、厳密なParallaxに狂いが生じて、特にピントがきっちり来ていない、細かい半分ボケたような被写体で垂直かあるいは近い状態で立っているものがある場合、コンピューターで判断を誤り、合成がうまくいかない場合があります。

こんな場合ですね
http://www.outbackphoto.com/workflow/wf_48/essay.html

これの解決法として、ああおりをシフトさせた場合、プレートなどを使いカメラ本体を逆方向にシフトさせた量と同じに動かすという方法があります。

http://wiki.panotools.org/Flat_stitching_for_tilt-shift_lenses

Workflow Technique #058 Avoiding Parallax while Stitching with Shift Lenses
http://www.outbackphoto.com/workflow/wf_58/essay.html
の中で説明されてます。

パソコンソフト側の合成能力が飛躍的に上がってるので、今では無視しても良いケースが多いのですが、それでもトラブルになる場合の対策としては、

プレートか、カメラを平行に移動できる代用品を、シフトレンズをシフトした方向と逆方向で、同じ長さにカメラごと水平に移動させて撮影してパララックスの狂いからくる合成の狂いを防ぐという原理。。左側に10ミリレンズシフトさせた場合、カメラはプレート上で10ミリ、右側動かしてパララックスを防ぐ手段。

カメラを狂いなく平行に動かす専用品は、三脚+マクロスライダーとか言われるものを応用すれば、左右の移動量の目盛りが付いており、狂いなく左右に被写体に向かって平行を保って動かせます。
プロ向けはRRS – Premium macro focusing rail
http://www.reallyrightstuff.com/B150-B-Macro-focusing-rail

ただしここまで大げさでなくても中国製のちょい品質は劣りますが、それでも安い
SUNWAYFOTO サンウェイフォト SF0251 [MFR-150 マクロフォーカシングレール]←アマゾンやE-bayなどで中国から直接取り寄せればもっと安い。
http://www.yodobashi.com/product/100000001003456859/

もう少し品質は下がり、個体によっては(実用では気が付かないほどかすかに)ひん曲がってたり動作がぎこちない可能性があるますが
NEEWER カメラ用 四方向 マクロフォーカス用 スライダレール/スライダー Canon,Nikon,Sonyなどのカメラに対応 【並行輸入品】購入前無名メーカーのものは移動量の目盛りがついているものを選びましょう。

あるいは三脚の雲台のクランプとカメラ側の接続をアルカスイス式にするという方法

SUNWAYFOTO クイックリリースクランプ Manfrotto / アルカスイス互換 MAC-14

など目盛りがついているので、プレートの付いたカメラを移動させる方法もありますね。

ただしいつも必要なわけではないので、どんな背景や風景だとParallaxの狂いが合成でじゃまになるかは(だいたい、まっすぐかそれに近い状態で、縦方向に立っている細かい被写体)、経験で判断することになります。なんならソフトの処理で消しちゃってもいいわけだし。

もう一つは、
レンズ本体に専用三脚座を増設してそこを起点として(カメラの方を動かすという感じで)シフトを行い、一眼レフでのParallaxの狂いを回避する方法

Canon TSE Tripod Collar – HCam & Hartblei
http://www.hartblei.de/en/canon-tse-collar.htm

Hartblei の各社対応(ニコン・キヤノン・ペンタックスなど)互換のアオリレンズの一部は、バックシフトやティルトに対応した三脚座が最初からついている高性能仕立て。もともとは旧ソ連のウクライナの製品でしたが、構造のパテントが譲渡されてドイツに販売ごと移管され、高くなった分品質は上がりました。ドイツから直接注文のみ。でも、実用には重い・高いですよ。

Hartblei 4/40 IF TS Superrotator

http://www.hartblei.de/en/sr40if.htm

HARTBLEI Digital 45mm Super-Rotator Tilt Shift Lens Small Format

http://www.hartbleilens.com/product_info.php?products_id=2

中判カメラ用(PENTAX645、67,ハッセルブラッドVマウント、マミヤ中判645レンズなど)のレンズをアダプターで使う場合、ソニー機やミラーレスであれば、中判レンズ三脚座付きのニコン用マウントアダプター(別にEOSのEFマウントでもいいけど)+キポンなどのニコン・ソニーEマウント用(もしくはキヤノン。フジミラーレス)ティルトシフトマウントアダプターと言う組み合わせでも実現できますね。

更にかんたんなのは (合成結合部分に垂直に立っている草のように細かい被写体を入れない。垂直側に目立つ被写体がない部分を合成部分に選ぶ)
http://www.outbackphoto.com/workflow/wf_48/essay.html
このケースでは下の、たてに並ぶ細かい草原や、フェンスで微妙なParallaxの狂いが生じて、ピントが合っていないこともあり合成がうまく行かなかったので、上下に分割、草原やフェンスの部分は下、建物から上を上として分割撮影するとパララックスParallaxの狂い目立ちにくく、合成ソフトも遥かに簡単に合成してくれますし、万が一ちょい変な部分があっても、修正も楽。

その他のトラブル回避のコツは、被写体より近い位置で、目立つのものを、ステッチ分割撮影の合成部分に入れないということですかね。

おまけでさらには

細かいものがボケているほどパララックスの狂いが、パソコンの判断を狂わせ合成を邪魔するので、左右にシフトして合成する場合、下側にレンズを同時にティルトさせて、ピントが確実にあっている面積を増やすということをやってる人もいます。これもかんたんな実用手法でうまくいくという人がいます。


とはいうものの

実際のところパララックスの狂いは、現在コンピューターのソフトが進歩して、どんどんうまく合成してくれるので、上に書いたような懸念は、特定の条件以外は、特に対策が必要がないとする人達も増えています。なんせ今ではパソコンの進歩で、アオリレンズすら使わないで普通のレンズで建築物分割撮影してステッチする人もいて、結構きれいに仕上がるんでから。

”Stitching with Tilt Shift Lenses to Create High Resolution Images”March 7, 2011 by Stephen
http://bayimages.net/blog/stitching-with-tilt-shift-lenses-to-create-high-resolution-images/

という記事の中で(以下引用)
Note that technically to avoid all parallax errors you should keep the lens fixed and move the back of the camera. ・・・ However, I’ve found this to be unneccessary as the software for compositing CS5 photomerge has never had any problems with the very small amount of parallax error introduced (even when there are close objects)”気をつけることはだね、技術的には、パララックスの狂い回避には、レンズを固定したまま、後ろ側についてるカメラを動かすべきなんだ。・・・でもね、Photoshop CS5のPhotomerge機能で、ごく僅かなParallaxの狂いが(近距離の被写体でも)でトラブルになったこともないし、いちいちパララックス補正みたいなことは必要とはいえないよ。

ということなのです。まあ、かなり近距離のマクロ撮影、ブツ撮り専門の人とかで、パララックスの狂いでシビアな条件が出る可能性がある人だと、こうしたパララックスの狂いで、たまにトラブルに成るときは、この記事に書いたようにカメラ側は、レンズをシフトさせた方向と逆に動かすということを覚えておくといいでしょう。低価格ストックフォトでステッチ撮影までは、イランとは思いますけどね。ここまで今いるのは撮り下ろしの高級カタログ撮影くらいかな?

ソフトごとに結構得意不得意があるので、フォトショップ以外のパノラマソフトなども別の記事で紹介する予定です。


アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

アオリレンズ その2 ティルト機能編 レンズの光軸を動かす

アオリレンズ その一 シフト機能編

パララックス補正はソフト側の進歩でいらないという人も増えましたが、ソフトごとの優劣もあるので検証は必要。

下の記事ではPhotoshopとLightrommという、同じアドビのソフトでも能力の差があることを指摘しています。記事内の「合成の手間を省くためにできる撮影時の工夫」の項目参照。

*この記事、アオリ撮影は、本来は大判カメラやビューカメラに見られるレンズを動かすのではなく、カメラ側(受光部分)を動かすもので、一眼レフのようなレンズを動かすアオリは、変則的な使い方という説明がないので、多くの人が視差=パララックス補正を忘れちゃうケースが出てくる。この記事で視差補正で紹介してるのはアオリレンズのシフトのケースではなく、カメラを回転させて撮影するパノラマ撮影でのパララックス=視差補正のやり方。プレート使ってますね。

Lightroom 実践力アップ講座 第38回 Lightroom CCでパノラマを使いこなせ」

解説:湯浅立志

http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/lightroom/8909.html

手持ちで結構できちゃうというぶっちゃけた話や、HDRを使う方法など軽く読むと参考になる。

ステッチ撮影 超高画素カメラと高級な超広角レンズが無くても、スーパー高画素な写真は作れます

画像合成で高画質写真を作る

マイクロストックでの必要画素数は、ほとんどの会社で1000万画素です(会社によっては300~600万画素で撮影した写真でも、画素補間で1000万画素に引き伸ばして、適切なシャープ処理をかけた写真もOKなところがあります)。8年前の黄金期に比べ、比較にならないほど利益率が少なくなったマイクロストックのために3600万画素だ~5000万画素だ~とやるのは基本は無駄。実際10年前の参加者が撮影した600万画素とか1000万画素の写真は、絵としてよければ、後の時代の高画素カメラで撮影した写真を出し抜いて、今でもよく売れていたりします。3600万画素のカメラでも、1800万画素くらいで撮影したほうが全体の仕事がはかどるでしょう。

参考記事1

参考記事2

ただし、ものによっては(実際に画素数が必要な仕事である場合もあるし、編集部がソフト会社にそそのかされて、とばっちりで一時期必要も無いRAWでの撮影と現像仕上げを強いられたKen Marcusの例などもあり(過去記事)、依頼する側とか、購入する側が、カメラ雑誌やメーカーの口車に乗せられて要らないスペックを要求する場合などもありますが)、特に動かない静物や、(一部の)風景では、高画素の写真がほしい場合もあります。

そこで、画素数の少ないカメラしかない場合でも、分割撮影を行って後から一枚の超高画素写真に合成する技術があります。合成が容易になったデジタルカメラ時代には積極的に活用したい業です。この技術を使えば、超広角レンズを持って無くても、張りあわせで超広角で撮影したような写真が出来上がります。デジタルカメラの画素数が極端に少なかった時代には結構使われていましたし、今でも大型の中判カメラを持ち出したくない場合業務でも、ステッチ撮影は普通に行われますので、ストックフォトでも積極的に使えばいいのです。*できればアオリレンズ(PC-E, TS-Eとか、シフトレンズ、アダプター、その他アオリ装置を使う)ほうがステッチ撮影はうまくいきます。

こうした複数の写真から一枚の高画素写真を作る、いわゆるパノラマソフトがたくさんありますが、複数の写真を組み合わせて超高画素写真を作るのに、一番使いやすいものは、アドビのフォトショップ (Adobe Photoshop)です。フォトショップ画像の編集ソフトとして、現在寡占的な位置を占めています。月額契約制のプロ版と、初心者ファミリー向けのエレメント(Photoshop Elements マイクロストックなら利益率から考えて最初はこっちのほうを使って、儲かったらプロ版に移行すればいいかも)の2種類があります。*複数の写真をうまく自動で配列する場合、ソフトごとに得意なシーンがあったりしますので、ほかのソフトがダメなのでは無いですが、全体としては、自動でうまく一枚の写真を作成してくれるソフトで一番効率がいいのはアドビのフォトショップです。

分割撮影をした写真をこれらのフォトショップで合成して一枚の大きな写真にするためには、photomergeというコマンドを用います。

機能解説は、

『Photoshop オート機能完全攻略 超高解像度の写真を作る① 』
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/photoshop/8243.html

↑の記事で言う画像は16ビットにして編集というのはおまじないくらいの意味で、実際には8ビットで編集してもかまいません。

『Photoshop Elements ヘルプ / パノラマの合成』
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop-elements/using/stitching-together-panoramas.html

割と簡単に高画素画像はできちゃうわけです。3000万画素とか5000万画素の高画素のカメラを、ブレ対策などで大型の三脚持ち出して、さらに高画素対応の高級な広角レンズなどで撮影するより、1000~1800万画素くらいのカメラで軽い三脚、安いレンズで分割撮影したほうが、予算も手間もかからず楽に済む場合もあります。

*できれば三脚を使ったほうがいいし、パノラマ雲台か、それに近い機材もあったほうがいいですが、手持ちでも結構うまく合成してくれます。どうやって合成するか、パソコンのほうでもできるだけ分かりやすいように、特徴のある部分を目印になるよう分割して撮影するのがコツです
露出は、マニュアルにして、どの写真も絞り・シャッタースピードを固定にしましょう(露出が分からなければ、カメラが適切と判断してくれてるシャッター速度と絞りの値の数字がでてくるので、そのまま使うか、好みでプラス側にするかマイナス側にして使いましょう)。さもないと、プログラムモードなど、オート撮影では一枚一枚の露出が変わってしまって合成しにくくなります。ピントもMFで固定したほうがいい。
また所詮機械なので、完璧でないこともあるので、小さいところでつながり方が不自然な箇所ができる場合もありますので、簡単なレベルの修正レタッチの技術を要することもあります。

ほか参考リンク
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/photoshop/8238.html

*普通のレンズでもステッチ撮影はできないわけじゃないですが アオリレンズのシフト機能を使うとより実用的になります 以下記事後半参照

アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影