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タグ: シフトレンズ

アオリレンズのシフト機能を使ったパノラマ撮影で、フルサイズカメラをなんちゃってデジタル中判カメラとして使う【ステッチ(スティッチ)分割撮影でのパノラマ合成】

アドビ製品は、使い方があふれているので、当記事は、ひねくれてまだ日本ではいまいち認知のない、Affinity Photoでのパノラマ合成機能の解説で行いました。

ステッチ(スティッチ Stitch)撮影とは、アオリレンズなどを使って広い光景を分割撮影し、後からPhotoshopなどのパノラマ合成機能で合成して、一枚の写真に仕上げるテクニックのことです

デジタルカメラの画素数がまだ少な過ぎの時代には、高画素の写真データーを得るためによく使われていた手法です

現在でも、フルサイズカメラで、なんちゃってデジタル中判カメラを代用させるテクニックとしてこのステッチ(スティッチ)撮影は役に立つことがあります

大体10mmのシフトが上下にできるアオリレンズがあれば、シフトを上下もしくは左右にかけ、三枚分割撮影した写真を

Adobeのフォトショップや、Affinity Photoあるいは専用のパノラマソフトで合成すると、

フルサイズカメラのセンサーは36*24mmですが、44mm*36mm、あるいは56mm*24mmの画素センサーのある中判デジタルカメラ相当の画像を、得ることができる、

なんちゃって中判デジタルカメラとしての活用が可能となります

本来のカメラのイメージセンサーより、大きなイメージサークルを持つアオリレンズや、中判や大判カメラのレンズをアオリアダプター(またはビューカメラ経由)経由でフルサイズなどのカメラに装着し

レンズ側を三脚座で固定し、カメラ側を動かすことで、撮影時の光軸のズレを抑え、簡単に合成ができるようになります(まあ、レンズとカメラを逆に動かして光軸ズレを抑える方法もありますが、撮影時の手間が増える)

補足:遠距離での撮影だと、ある程度光軸のズレによるパララックスを、パノラマ合成ソフトが、自動で修正してくれるので、レンズ側専用三脚座は、なくても大部分のケースで使えたりします

このため一眼レフ用などのアオリレンズに取り付けれる、三脚座があると、フルサイズなどの一般的なカメラで、レンズのシフト機能を使い、分割して撮影し、あとから一枚の画像に合成するのに便利なわけで、

最近は中国のIshootが、キヤノンやニコン、SAMYANGのアオリレンズに付けられる三脚座を販売していることは、

ニコンの一眼レフ用アオリレンズ用の光軸ズレを防げる三脚座のレビュー【ステッチ(スティッチ)パノラマ撮影用三脚座】

で紹介しましたが、実際に実験してみましょう

まずは、レンズ側に三脚座を取り付けたアオリレンズを、上にシフト、ノーマル位置、下にシフト(三脚座がつかない場合、カメラ側をレンズのシフト方向と反対側に同じ量、動かして、パララックス補正をする)をした位置で、それぞれ写真を撮影、

この場合は三枚撮影(この実験は、PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D に改造ニコンTC-14EIIと、マウントアダプター経由で、ソニーの1.4倍テレコンSEL14TCのダブルテレコンでの撮影(メーカー推奨でもなく、動作保証もない組み合わせなのは、一応書いておきます))

PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D(+Nikon TC-14EI +Sony SEL14TC) Top + 10mm Shift Middle Normal (0mm Shit) Botton -10mm Shift

パノラマ合成にはいろんなソフトがありますが、今回はAffinity Photoで、

ファイル→新規パノラマ

すると以下の窓が開くので、

左下の、「追加」の位置をマウスで左クリック

パノラマ合成したい写真を選び、

画像選んだら、右下の「開く」をマウスで左クリック

すると、

真ん中下の、「パノラマのスティッチ」をマウスで左クリック

するとこうなるので、

右下の「OK」をマウスクリック

すると、以下の画像が出て、

画像がうまくつなぎ合わされておらず、ずれている場合は、

Aの部分の、「ソース画像を変形ツール」をクリック

すると、合成に使われた3枚の写真それぞれをマウスで選べるようになるので、

動かしたり変形させたりしてうまく合成できるようにします

合成ズレから少し余白が出ているので、あとからではなくこの場でズレ部分カットしたければ

1の切り抜きツールのアイコンを、マウスで左クリック

すると以下のようにグリッド線が表示されるモードになるので、

画面右上の「」

「不透明部で切り抜き」をマウスで左クリック

すると、いらない部分を自動的に判断してくれますので、

この合成で良ければ、

左上の青い部分の「適用」をマウスで左クリック、やり直す場合は、キャンセルを左クリック

完成した画像のサイズデーターは、

合成された写真は、短辺 5922ピクセル 長辺 9555ピクセルの、5658.4万画素の、なんちゃって5千万画素デジタル中判カメラでの、撮影画像シュミレーションとなるわけです

まあ、この写真は、めんどくさいので中型三脚のへロイ雲台でやりましたが、軽いし剛性がないため、ステッチ作業で微妙に位置がずれるので、シビアにやりたければできるだけ大きな三脚と雲台で、分割撮影時の位置ずれが生じ無いようにすることが大事です

自動でも大部分うまくいく模様ですが、

うまくいかない場合

1:他のパノラマ合成ソフトを試すw

2:この記事でも一部説明していますが、Affinity Photo内で、合成エラーを手動で修正する

以下の記事に説明

「パノラマの編集」Affinity

https://affinity.help/photo/ja.lproj/index.html?page=pages/Panorama/panorama_editing.html?title=%E3%83%91%E3%83%8E%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%81%AE%E7%B7%A8%E9%9B%86

ピント合成(深度合成)のときとはことなり、倍率色収差の補正は、パノラマ合成(ステッチング合成)の前に行ったほうがいいような印象があります(正確に統計データーは取っていない主観ですが)パープルフリンジ・グリーンフリンジなど軸上色収差絡みが大きな原因の収差に関しては、合成後に行っても、特に不都合はない模様

*専用のアオリレンズの必要性

APS-Cのカメラなら、フルサイズ用の機械式絞りリングがあるタイプのレンズがアオリアダプター+手動でのパララックス補正(遠距離の場合は必ずしもいらない)で使うこともできます。ただし、機械式絞りリングのあるレンズは性能の低いものが多いので、実際テストして満足行くかどうか試す必要があります

フルサイズ用の古めのレンズでも、近距離で画角が狭くなるフォーカスブリージング(Focus Breathing)が大きめのレンズだと、接写とか近距離だと10ミリシフトでそこそこの画質で撮影できることがあります。専用のシフトアオリレンズでも、古いものは性能が高くなかったりするので、画像ソフトで色収差補正などをかけて編集する場合、仕上がりは大差がない場合もあります(フォーカスブリージングは、近距離になると逆に画角が広くなるレンズもあるので注意)


Canon TS-E レンズ用Stitch(panorama スティッチ ステッチ)撮影用三脚座TSE Frame Mk3

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画像の利用条件は、日本政府への寄付金一億円(画像一枚ごと、一回に付きです)とし、使用にあたっては寄付を証明する書類などの画像を同時に表示してください、画像使用にまつわる寄付の証明を同時に提示しないでの、勝手な利用は全て不正利用とみなし、

日本政府を当ブログの代理人とし、その不正利用者から、当ブログとの連絡なしに、使用にかかわる寄付金を徴収する権利を、認めます。

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モデルフィギュア

桜島麻衣 1/4 バニーバージョン

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富士の中判デジタルカメラGFX 50Rに、Samyang 24mm F3.5 ED AS UMC ティルトシフトレンズ/Rokinon T-S 24mm F3.5 ED AS UMCを改造装着した話題

Samyang TILT/SHIFT LENS 24mm F3.5 ED AS UMC

https://www.samyanglens.com/jp/product/product-view.php?seq=268

機械式のピントリングと、絞りリングを持ち、原始的なマウントアダプターで各社ミラーレスカメラで使える、SAMYANG製の、超広角アオリレンズです。

このレンズのレンズマウント部を改造し、フジフィルムの中判デジタルカメラGFX 50Rに装着した例が以下の掲示板にあります

Samyang 24mm f/3.5 Tilt-Shift Lens on GFX: a deep dive

Started May 25, 2021 | Discussions

Digital Photography Review

https://www.dpreview.com/forums/thread/4577550

このレンズは、開放絞りが甘いとされるレビューも多かったが、コントラストが低いのが原因なので、コントラストをあげてやると、かなり使える

富士フィルムの中判デジタルカメラGFX 50Rで使う場合、中心部はF5.6でピーク、F8では回折現象(小絞りボケ)が出るが、周辺ふくめた全体としての画質はF8でピークになる

このレンズを、フジの中判デジタルで使う場合、アオリは10mmちょい使えるイメージサークルの余裕があるとされています

https://www.dpreview.com/forums/thread/4577550#forum-post-65173624

マウント改造の解説写真見ると、かなり薄っぺらいプラで作られて、落下とかあったら壊れるだろうなとw

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アオリレンズは、測光センサーが画素センサーとは別にある、一眼レフカメラだと、シフトやティルトの量によって露出補正がいるとされていましたが、

画素センサーで直接測光するミラーレスカメラでは、アオリ量による露出の補正は、さほどシビアに考えなくて良いようです(厳密に検証していないので、個人の感想ですが)

ニコンの一眼レフ用アオリレンズ用の光軸ズレを防げる三脚座のレビュー【ステッチ(スティッチ)パノラマ撮影用三脚座】

ニコンが2008年頃に生産終了した、

PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D

は原始的な機械連動絞りで、電子マウントアダプターを使わずも、単純なマウントアダプターで利用できるため、現在各社のミラーレスカメラで活躍させています。

シフトとティルトが、直交=同軸稼働式でないことも、ミラーレスカメラでは、もう一個ティルトシフト機能付きマウントアダプターをつければ、直交にも並行にもできることで、解決することなので、特に気にははならない

ただ、一眼レフ用やミラーレスカメラ用のこの種のアオリ機能のあるレンズは、レンズ側に三脚座がないため、シフトやティルトをすると、レンズが動き、光軸がずれる構造になっています。要は大判カメラ=ビュータイプのカメラの、じゃばらアオリ機能のような、カメラのほうが動く、バックシフトとバックティルトができない

このため、ステッチ(スティッチ)撮影などの合成パノラマ撮影では、光軸を揃え直す作業が、こうした一眼レフやミラーレスカメラ用の簡易アオリレンズでの撮影には必要な場合がありました。

その点を解決するため、レンズ側に三脚座がついていればいいのですが、ニコンもキヤノンも自社ではそういう製品を作らず、鏡胴の強度をあげないと、三脚座をつける重量などには耐えられないからかとも思いますが。

ニコンが以下の記事で述べたところによると、一眼レフのFマウント用に一番最後に製品化したPC 19mmは、三脚座をつけても耐えられる設計にしたと述べています=それ以前の製品は、三脚座装着想定の鏡胴に強度がない設計とも言えるわけで


ニコンPC NIKKOR 19mm f/4E ED

山岳写真にもおすすめ 最新ニッコールの優秀さを味わえる1本

  • 杉本利彦 デジカメウォッチ

2017年8月10日 07:00

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/interview/1070229.html

——これはPCレンズ全般に言えることなのですが、パノラマやスティッチングを考えるとレンズを固定してボディ側が動いた方が良いので、レンズを固定する三脚座が欲しいです。ティルトアオリの部分を省略して望遠レンズのような三脚座がつくバージョンを作っていただければ、コストダウンにもなると思います。

猪原:今後の参考とさせていただきます。実はアダプターの装着などを考慮してピントリングの後方部分の鏡筒の強度を上げており、そうした使い方をされても大丈夫なようには配慮しています。(上記デジカメウォッチ記事から引用)

この記事から見ると、ニコンのそれ以前のアオリレンズには、三脚座装着想定の鏡胴の強度はないとも見えますw


キヤノンもニコンも自社の一眼レフ用のアオリレンズには三脚座を販売してきませんでしたが、

キヤノンのアオリレンズTS-Eには、以下のように、外国の他社で、三脚座が発売されていたりもして

http://www.hartblei.de/en/canon-tse-collar.htm

一方のニコン用のアオリレンズには、専用レンズ三脚座を販売する会社は現れませんでした

しかし、レーザー加工で金属加工が容易になると、中国メーカーがこうした一眼レフ用アオリレンズで光軸のズレなくシフト撮影ができるようにする三脚座を販売しだしました

すごいのは、10年以上前に生産終了となった、ニコンのPC Micro-Nikkor 85mm f/2.8Dの三脚座もきちんと販売されたことです。iShoot IS-PC85 Tripod Mount for Nikon PC Micro 85mm f/2.8D Tilt Shift Lens

iShoot IS-PC85 Tripod Mount for Nikon PC Micro 85mm f/2.8D Tilt Shift Lens

一応ポーチに入ってますが、ポーチの必然性は?

これと、もう一つティルトシフト機能の付いたマウントアダプターをつけて、ミラーレスカメラで使えば、バックティルト、バックシフトも思いのままになるので、早速装着

まあ、レーザー掘削機で自動での加工が容易になったとはいえちゃんとハマりますw

説明書も何もついていないので、取り付け方が最初わからんという人もいるでしょうが、三脚座とレンズの位置合わせ位置は、下の写真のようにTとTの文字で合わせてはめ込みます

古いレンズ用の三脚座も出したあたりはすごいけど、今から売れるかな?

この会社、SAMYANGの24mmティルトシフトレンズ用の三脚座もだしています

*注意、元のアオリレンズは、三脚座の装着想定の強度が、鏡胴にはない可能性もあるので、この三脚座は、使わないときは三脚座固定ノブを緩めて保管し、使うときもあまり重いカメラは使わないほうが、レンズ破損の心配が少なくなると思います

アオリレンズのシフト機能を使ったパノラマ撮影で、フルサイズカメラをなんちゃってデジタル中判カメラとして使う【ステッチ(スティッチ)分割撮影でのパノラマ合成】

シフトレンズ(アオリレンズもしくはアオリ機能付きアクセサリー)ではなく、普通の交換レンズとパノラマ雲台、時として手持ちでPhotoshopのPhotomergeなどのパノラマソフトだけで高画質ポートレートを分割撮影から合成する方法

アオリレンズのシフト機能を使った分割撮影で、中判がなくてもフルサイズデジタルカメラ(やもっと小さいサイズのカメラ)でモデルを分割撮影し、後から合成で一枚にすることでもスーパー高画質の写真は作れることを書いてきましたが。

アオリレンズや、パノラマ雲台とか言った機材がなくとも、人物がいる光景の写真と、人物がいない光景の写真と言った具合に、左右に分割して撮影し後からパノラマソフトとかで合成するだけでも、ぶっちゃけ結構うまくいくケースもあります(本記事後半で解説)。

でも、立っている人物を頭、胴体、足と言った具合に分割して撮影して、それを合成で1枚の写真を仕立てる場合、アオリレンズのシフト機構や、普通のレンズをつけたカメラをパノラマ雲台の載せて撮影する方法のほうが失敗は少ない。

アオリレンズのシフトを使わず、普通のレンズ+パノラマ雲台を使う場合。

パノラマ雲台を使い、プレートなどで視差=Parallaxを起こさない位置にカメラを移動させ、そこを起点にカメラを回転させ分割撮影を行い、後から1枚の写真に合成する方法です。

視差=パララックスを起こさない位置は、ノーダルポイント(Nodalpoint)と呼ばれますが、それの設定方法は、パノラマ雲台と呼ばれるものを使って探します。
以下の記事参照

「 Nodal Ninja3 MkIIを使ってノーダルポイントを見つける~業務向けの高品質な360度パノラマ写真の作り方を紹介【第3回】」
http://www.dronediy.jp/2016/01/nodal-ninja3-mkii360.html

パノラマ雲台ではなく、もう少しかんたんなノーダルポイント設定用のスライダーを用いて、ノーダルポイントを設定する解説は、前の記事でも紹介した

「Lightroom 実践力アップ講座 第38回 Lightroom CCでパノラマを使いこなせ」解説:湯浅立志」

http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/lightroom/8909.html

の後半「合成の手間を省くためにできる撮影時の工夫」に解説が出てます

とはいっても、上に見るように正確なノーダルポイント設定が結構面倒で、きっちり調整したつもりが被写体の距離が違うと設定し直しとか、現場でぶっつけでノーダルポイント確認することも多くなります(遠距離(200メートルくらい)になるほど、適当か、まったくなくてもソフトの進歩で勝手に補正してくれるので大部分のケースでかまわないのだが、近距離でごちゃごちゃしたシーンになればなるほど、ソフトウェアで合成失敗する確率が高くなるので、撮影時にノーダルポイント設定をきちんとスべきケースが多くなり、設定が難しくなる)、忙しい撮影スケジュールだと、ほぼアバウトにノーダルポイントを決めることが多くなります。逆に事前に使うレンズのノーダルポイントがはっきりわかれば、アオリレンズのシフト機能より手っ取り早い場合もありますし、アオリレンズのステッチ(=スティッチ)で分割するやり方とは、出来上がりの合成写真は、背景の圧縮具合が違ってきます。

Creative Ways of Using Stitching (ステッチ合成の創造的なやり方)
12 Mar 2013
http://blog.reallyrightstuff.com/creative-ways-of-using-stitching/

には、モデルを頭から足まで五枚撮影し、合成した例がでてきます。

the Brenizer Method(Brenizer(http://ryanbrenizer.com/)という人が広めたのが呼び名の始まり。原理自体は19世紀から考案されていたが、アナログフィルムの時代は手間がかかりすぎて広くは使われなかった)と呼ばれる手法があります。

パノラマ雲台を応用(近距離になればなるほど手持ちは避けた方がいいが、実際のロケとかでは時間制約から手持ちで行われること多し)して、標準から中望遠レンズの開放あたりの絞りを使って、あたかも超広角の開放絞りでとったのように、しかも背景が望遠の圧縮効果で大きく見えるように見せかけるわけ(広角レンズで撮影した場合背景はもっと小さくなっちゃいます)。

人物以外の風景も大きく取り入れる場合、写真30枚ほどのステッチ分割撮影をノーダルポイントを設定したパノラマ雲台を用いて行い、広角レンズの24mm1.4とかでは絶対出せないボケの世界を演出する技法です。もちろん、中判無しでの高画素写真を作れるメリットもありますが、30枚の分割撮影をモデルが止まってくれている間に行うわけで、プロのモデルでも静止してるのは30秒位。手際よくやるのが必要。


アオリレンズを使う場合でも、同じようなボケではないですが、シフトと同時に逆ティルトをかけることで、広角レンズで絞ったまま、被写体以外をうまくボケさせることは可能です(背景は小さくなりますけど、練習がいる)。

広角アオリレンズ(Canon TS-ECanon 24mm ts-e f/3.5 II、45mm TS-E)で、ティルト機能で意図的にピントの位置をずらし被写体以外はボケるようにした例は下の記事など。
Creating Artistic Portraits Using A Tilt-Shift Lens June 19th 2016 1:00 PM

Creating Artistic Portraits Using A Tilt-Shift Lens

広角ティルトレンズの場合は、圧縮効果がないので、背景がビヨーンと間延びしますね。これはこれでいいのですけど。

また、アオリレンズならではの描写があり、下の画像のように手前のカップルと、後ろに離れた石垣にのみピントを持ってくる写真は、アオリレンズのティルト機能があってこそできる写真ですね。

http://www.slrlounge.com/wp-content/uploads/2016/06/jay-cassario-tilt-shift-4.jpg

(↑直リングでの画像インライン表示は不正利用ではないと日本の裁判所では判例がありますが、ネチケット的にインライン表示は、さけました。Youtubeみたいに向こうでインライン表示拒否設定をユーザーが選択する場合はともかく、そうでない場合は、個別に判断してます。サウザーネタみたいに相手の宣伝になり、向こうの利益にもなる、画像は小さい低画質のものと判断出来れば画像インライン表示することもあります)

 


ただし、Brenizer Methodは、撮影現場での制約から、パノラマ雲台も用いず手持ちで行うことも結構ある。モデルが止まっていられるのはせいぜい30秒ということを考えれば、3~5枚撮影ならともかく、30枚近くの分割をパノラマ雲台で行うのは逆に難しいから。視差=パララックスは被写体との距離が近ければ近いほどシビアになるので、手持ちの場合はモデルからある程度離れたほうがいいといえますね。


できるだけ失敗しない(特にパノラマ雲台を使わず手持ちでやる場合に重要)Brenizer Method(主にポートレートなどの撮影に用いられる)合成パノラマ撮影のコツは、

1)できるだけメイン被写体の前にじゃまになるものを入れない。

2)カメラを若干回転させるので背景のパースが変わりやすいので、背景をぼかして合成ソフトが多少失敗しても、ごまかしやすくしておくのが良く(あるいは単純な白バックなどを用いる)、絞りは開け気味のほうが成功率は高いようです。

3)中望遠から望遠レンズを使う フルサイズだと85mm使う人が結構いますが、失敗を減らすにはフルサイズカメラで100-200ミリくらいの望遠が最適。まあ、宣伝にヨンニッパ使ってる人もいましたがw手持ちの場合、長い望遠レンズを使うほど、視差=パララックス(Parallax)による合成失敗の確率が減る。逆に広角レンズになればなるほど三脚(トノーダルポイント修正がなされたパノラマ雲台)を使う方がいい→手持ちでは広角レンズ利用は距離が近い場合避けた方がいい

4)合成する隣のコマと、50%くらいの部分が重なり合うのが望ましい

5)PhotoshopのPhotomergeなど機能で合成する際、自動は選ばず、Cylindrical(シリンダー、円筒形)を選ぶほうがエラーが少ない(*この点はAUTO=自動の方がいいという人もいますし、フォトショップよりパノラマ専用ソフトのほうが精度が高いし、調整も楽と議論があります。自分の経験ではフォトショップより、パノラマ・ステッチソフトであるPTGUIのほうが精度も高いし、合成間違いをポイント指定で修正する機能など、レイアーをちまちま動かして修正するフォトショップより優れていると思います)

6)絞りは開放に近い絞りを選べ=あまり絞るな=明るい単焦点が望ましい(Brenizer Methodは広大な光景の中のポートレートを意識した場合に有効な撮影法なので、背景が飛ばすのが望ましいからということもありますが、手持ちの場合、どうしても起きやすい視差=パララックス=Parallaxの狂いや合成のちょっとしたエラーが、細かい背景の場合でやすいのをぼかしてごまかせる)ただし、絶対じゃないですので絞っていいいかどうかはケースバイケースで考えましょう。

7)ピントはメインのモデルなどで合わせてから、MFでピントを固定して分割撮影をする。モデルと離れたところから撮影し、もう一度モデルのところまで戻って来た時、手持ちゆえ狂ってないかもう一度ピントを確認。

8)露出は全コマ同じ露出でマニュアル固定。

 


実践方法の解説は

5 Steps to Rock the Brenizer Method. A Post By: Danielle Ness
https://digital-photography-school.com/5-steps-to-rock-the-brenizer-method/

さて、Brenizer Method実際はアオリレンズでもない普通の85mmレンズで、分割撮影して行われることが多いわけで、以下の動画に実例が手短に要領よく解説(引用ではなく、インライン表示です)、

(以下のシリーズは説明がかなり冗長ですね。)

この方法の場合、手持ちで撮影した場合、ミスでかけている部分が出るのは普通で、実際に合成素材撮影がうまくいったかどうかを確認するため、パノラマソフト=かPhotoshopを入れたノートパソコンを現場に持ち込んで、撮影後実際に合成できるかどうか確認できるようにした方がいいでしょう。

他にも手持ちで分割撮影→合成した例です

How to Make a Panoramic Portrait by Casey Cosley
March 13, 2017
http://blog.creativelive.com/creativelive-challenge-panoramic-portrait/

手持ちでさっとやっただけなので、背景の樹木が若干へんになってますが、ボケてる部分なので、目立ちませんし、言われなきゃ気が付きませんね。

 


シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・

アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

Hugin無料のパノラマ作成スティッチ(ステッチ)ソフト

シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・

現代ではアオリレンズと呼ばれる機能のうち、シフトと呼ばれる、主に広角レンズで発生しやすいビルの上になるほどすぼまったり、下ほどでかくなったり、モデルの足が短足になったりの補正は、アオリ装置で行うと、大掛かりな装置になりやすく、撮影時の手間・モデルとのテンポを考えると、超広角以外はパソコンのソフトのパース補正=アオリ補正とかいう機能で賄うほうが手っ取り早い時代になりました。

ただし、アオリレンズのシフト機能を用いれば、ステッチ撮影(Stitch, スティッチ、スティッチングと呼ばれることが静止画の方では多い)という複数分割撮影した画像から、超高画素の画像を生み出す撮影に役に立つ場合もあり、左側にモデルが居る場合、左にシフトした写真を撮影、その後右側にシフトさせて右側の景観を撮影。その後パノラマ作成ソフトや、PhotoshopのPhotomerge機能などで合成して、中判いらずの高画素写真を作ることもできます。モデルの全身写真でも動きにくい場所を起点として、同じように分割撮影して合成する方法もあります。


ただし、ステッチ撮影自体は、直線等が特に問題にならないなら、手持ちで普通のレンズが付いたカメラを水平・上下に平衡を保ったままに動かしていって、後からパソコンで合成するのでも、パソコンも賢くなっているので、そのあたりをうまく繋いでも、ぶっちゃけ結構使えちゃうので、アオリレンズのシフト機能は必ずしもいらない

レンズの歪曲データーがなくても、合成された写真から、うまく直線を判断して歪曲やパースを補正するソフトまである時代です ←室内で色々家具とかあるとうまくいかない場合がある。

【レビュー】建築写真のデジタルシフト補正に特化したレタッチソフト「ShiftN …

forest.watch.impress.co.jp/docs/review/514917.html

 

ShiftN

てなわけでステッチ撮影はシフトレンズを使ったほうがいい場合もあるのですが、建物のネジ曲がりとか歪曲とか細かいことを気にしない・気にならない光景なら、普通のレンズがついたカメラ自体を動かして撮影する方法もあります。シフトレンズを使った場合、三脚が好ましいという人もいますが、デジタル時代で高感度が平気で使えるので、壁などを支えにして手持ちで済ましても結構うまくいきます。

まあキヤノンの古いデジカメの時代から、デジタルでかんたん手持ちお手軽ステッチ撮影=合成大画像撮影の機能はあり、今でも解説が残っています。

「スティッチって何だろう? 」(←ステッチもスティッチも同じ意味です)
http://web.canon.jp/imaging/SOFTWARE/stitch/camera/what_is_stitch.html

というページで大昔のキヤノンの安物クラスデジカメで、シフトレンズなしにステッチ撮影する方法が解説。

http://web.canon.jp/imaging/SOFTWARE/stitch/camera/satuei.html
には、シフトレンズを使わないでステッチ撮影を行うためのアドバイスとして、
「スティッチのための撮影ヒント ★風景を撮影する場合は、なるべく近くの被写体を入れるのは避けましょう。 ★原稿を撮影する場合は、カメラを原稿面に平行に動かして距離を一定に保つよう撮影しましょう。 」(上記リンク引用)

まあシフトレンスとかを使わないでのステッチ撮影のコツは今も変わりませんね。


厳密に言えば、シフトレンズを用いる、カメラを水平に動かす、パノラマ雲台を用いて、カメラを回転させながら撮影する(カメラごとに動かす、あるいはパノラマ雲台の場合、被写体が200m位離れていればほぼ無視していいし、それ以下でもソフトの改良が進み実用の問題が出にくいことが多い)、場合、どの方法でも「状況によってはパララックス=Parallaxに注意する必要がある」場合もあります。

アオリ操作は本来はレンズを動かさず、カメラ側を傾けたり、上下左右に移動させるものです。シフトレンズを左右や上下にシフト移動した場合、大判カメラ(もしくは大判カメラやそれを模したビュータイプアオリ機構に一眼レフをアダプターで取り付けた場合)と違い、一眼レフ用のアオリレンズはレンズに三脚座がないので(アオリアダプターも一緒)、カメラを三脚につけるため、レンズを動かす形となり、厳密なParallaxに狂いが生じて、特にピントがきっちり来ていない、細かい半分ボケたような被写体で垂直かあるいは近い状態で立っているものがある場合、コンピューターで判断を誤り、合成がうまくいかない場合があります。

こんな場合ですね
http://www.outbackphoto.com/workflow/wf_48/essay.html

これの解決法として、ああおりをシフトさせた場合、プレートなどを使いカメラ本体を逆方向にシフトさせた量と同じに動かすという方法があります。

http://wiki.panotools.org/Flat_stitching_for_tilt-shift_lenses

Workflow Technique #058 Avoiding Parallax while Stitching with Shift Lenses
http://www.outbackphoto.com/workflow/wf_58/essay.html
の中で説明されてます。

パソコンソフト側の合成能力が飛躍的に上がってるので、今では無視しても良いケースが多いのですが、それでもトラブルになる場合の対策としては、

プレートか、カメラを平行に移動できる代用品を、シフトレンズをシフトした方向と逆方向で、同じ長さにカメラごと水平に移動させて撮影してパララックスの狂いからくる合成の狂いを防ぐという原理。。左側に10ミリレンズシフトさせた場合、カメラはプレート上で10ミリ、右側動かしてパララックスを防ぐ手段。

カメラを狂いなく平行に動かす専用品は、三脚+マクロスライダーとか言われるものを応用すれば、左右の移動量の目盛りが付いており、狂いなく左右に被写体に向かって平行を保って動かせます。
プロ向けはRRS – Premium macro focusing rail
http://www.reallyrightstuff.com/B150-B-Macro-focusing-rail

ただしここまで大げさでなくても中国製のちょい品質は劣りますが、それでも安い
SUNWAYFOTO サンウェイフォト SF0251 [MFR-150 マクロフォーカシングレール]←アマゾンやE-bayなどで中国から直接取り寄せればもっと安い。
http://www.yodobashi.com/product/100000001003456859/

もう少し品質は下がり、個体によっては(実用では気が付かないほどかすかに)ひん曲がってたり動作がぎこちない可能性があるますが
NEEWER カメラ用 四方向 マクロフォーカス用 スライダレール/スライダー Canon,Nikon,Sonyなどのカメラに対応 【並行輸入品】購入前無名メーカーのものは移動量の目盛りがついているものを選びましょう。

あるいは三脚の雲台のクランプとカメラ側の接続をアルカスイス式にするという方法

SUNWAYFOTO クイックリリースクランプ Manfrotto / アルカスイス互換 MAC-14

など目盛りがついているので、プレートの付いたカメラを移動させる方法もありますね。

ただしいつも必要なわけではないので、どんな背景や風景だとParallaxの狂いが合成でじゃまになるかは(だいたい、まっすぐかそれに近い状態で、縦方向に立っている細かい被写体)、経験で判断することになります。なんならソフトの処理で消しちゃってもいいわけだし。

もう一つは、
レンズ本体に専用三脚座を増設してそこを起点として(カメラの方を動かすという感じで)シフトを行い、一眼レフでのParallaxの狂いを回避する方法

Canon TSE Tripod Collar – HCam & Hartblei
http://www.hartblei.de/en/canon-tse-collar.htm

Hartblei の各社対応(ニコン・キヤノン・ペンタックスなど)互換のアオリレンズの一部は、バックシフトやティルトに対応した三脚座が最初からついている高性能仕立て。もともとは旧ソ連のウクライナの製品でしたが、構造のパテントが譲渡されてドイツに販売ごと移管され、高くなった分品質は上がりました。ドイツから直接注文のみ。でも、実用には重い・高いですよ。

Hartblei 4/40 IF TS Superrotator

http://www.hartblei.de/en/sr40if.htm

HARTBLEI Digital 45mm Super-Rotator Tilt Shift Lens Small Format

http://www.hartbleilens.com/product_info.php?products_id=2

中判カメラ用(PENTAX645、67,ハッセルブラッドVマウント、マミヤ中判645レンズなど)のレンズをアダプターで使う場合、ソニー機やミラーレスであれば、中判レンズ三脚座付きのニコン用マウントアダプター(別にEOSのEFマウントでもいいけど)+キポンなどのニコン・ソニーEマウント用(もしくはキヤノン。フジミラーレス)ティルトシフトマウントアダプターと言う組み合わせでも実現できますね。

更にかんたんなのは (合成結合部分に垂直に立っている草のように細かい被写体を入れない。垂直側に目立つ被写体がない部分を合成部分に選ぶ)
http://www.outbackphoto.com/workflow/wf_48/essay.html
このケースでは下の、たてに並ぶ細かい草原や、フェンスで微妙なParallaxの狂いが生じて、ピントが合っていないこともあり合成がうまく行かなかったので、上下に分割、草原やフェンスの部分は下、建物から上を上として分割撮影するとパララックスParallaxの狂い目立ちにくく、合成ソフトも遥かに簡単に合成してくれますし、万が一ちょい変な部分があっても、修正も楽。

その他のトラブル回避のコツは、被写体より近い位置で、目立つのものを、ステッチ分割撮影の合成部分に入れないということですかね。

おまけでさらには

細かいものがボケているほどパララックスの狂いが、パソコンの判断を狂わせ合成を邪魔するので、左右にシフトして合成する場合、下側にレンズを同時にティルトさせて、ピントが確実にあっている面積を増やすということをやってる人もいます。これもかんたんな実用手法でうまくいくという人がいます。


とはいうものの

実際のところパララックスの狂いは、現在コンピューターのソフトが進歩して、どんどんうまく合成してくれるので、上に書いたような懸念は、特定の条件以外は、特に対策が必要がないとする人達も増えています。なんせ今ではパソコンの進歩で、アオリレンズすら使わないで普通のレンズで建築物分割撮影してステッチする人もいて、結構きれいに仕上がるんでから。

”Stitching with Tilt Shift Lenses to Create High Resolution Images”March 7, 2011 by Stephen
http://bayimages.net/blog/stitching-with-tilt-shift-lenses-to-create-high-resolution-images/

という記事の中で(以下引用)
Note that technically to avoid all parallax errors you should keep the lens fixed and move the back of the camera. ・・・ However, I’ve found this to be unneccessary as the software for compositing CS5 photomerge has never had any problems with the very small amount of parallax error introduced (even when there are close objects)”気をつけることはだね、技術的には、パララックスの狂い回避には、レンズを固定したまま、後ろ側についてるカメラを動かすべきなんだ。・・・でもね、Photoshop CS5のPhotomerge機能で、ごく僅かなParallaxの狂いが(近距離の被写体でも)でトラブルになったこともないし、いちいちパララックス補正みたいなことは必要とはいえないよ。

ということなのです。まあ、かなり近距離のマクロ撮影、ブツ撮り専門の人とかで、パララックスの狂いでシビアな条件が出る可能性がある人だと、こうしたパララックスの狂いで、たまにトラブルに成るときは、この記事に書いたようにカメラ側は、レンズをシフトさせた方向と逆に動かすということを覚えておくといいでしょう。低価格ストックフォトでステッチ撮影までは、イランとは思いますけどね。ここまで今いるのは撮り下ろしの高級カタログ撮影くらいかな?

ソフトごとに結構得意不得意があるので、フォトショップ以外のパノラマソフトなども別の記事で紹介する予定です。


アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

アオリレンズ その2 ティルト機能編 レンズの光軸を動かす

アオリレンズ その一 シフト機能編

パララックス補正はソフト側の進歩でいらないという人も増えましたが、ソフトごとの優劣もあるので検証は必要。

下の記事ではPhotoshopとLightrommという、同じアドビのソフトでも能力の差があることを指摘しています。記事内の「合成の手間を省くためにできる撮影時の工夫」の項目参照。

*この記事、アオリ撮影は、本来は大判カメラやビューカメラに見られるレンズを動かすのではなく、カメラ側(受光部分)を動かすもので、一眼レフのようなレンズを動かすアオリは、変則的な使い方という説明がないので、多くの人が視差=パララックス補正を忘れちゃうケースが出てくる。この記事で視差補正で紹介してるのはアオリレンズのシフトのケースではなく、カメラを回転させて撮影するパノラマ撮影でのパララックス=視差補正のやり方。プレート使ってますね。

Lightroom 実践力アップ講座 第38回 Lightroom CCでパノラマを使いこなせ」

解説:湯浅立志

http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/lightroom/8909.html

手持ちで結構できちゃうというぶっちゃけた話や、HDRを使う方法など軽く読むと参考になる。

アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

アオリレンズのティルト効果の利用法

レンズを傾けることによってピントの合う角度を変えられるため、商品撮影などで斜めに置いた置物全体にピントを合わせたりする手法が主体。

だが、意図的にピントの合う箇所を変えることで、たとえばポートレートで建物の横に女性が立っている場合、女性にのみピントを合わせて、建物をぼかすなどの手法がある。これを逆アオリという。

http://www.nationalphoto.co.jp/2F/horseman/index_arc.htm

逆アオリを利用しての表現で、一時期はやったものにミニチュア効果 ジオラマ効果ともいう

ティルトで生み出される独特の表現として、ピントが合う範囲を狭めるものがあります。逆ティルト撮影とかミニチュア撮影手法といわれ、アマチュア写真家の間で一時期はやった方法です。ビルの屋上や丘の上など上から見下ろすアングルから、レンズのティルトを下にではなく上に向けて動かし、下界の実物の風景をミニチュアのように見せる手法でした。
ニコンやキヤノンの専用アオリレンズは高いので、旧ソ連のレンズをわざわざ個人輸入したり、レンズベビーがおもちゃレンズの扱いだが、実用になる比較的安価なティルト機能搭載レンズを出したり、それなりに人気はあったようです。

が、逆アオリは、ジオラマ効果など一部の表現では、デジタルレタッチでも似たような画像が作り出せるようになりました。今ではカメラの中でソフト的にミニチュア効果を作成する機能がついたり、

パソコンソフトの「チルトシフトスタジオ」という
http://tiltshift-studio.com/

無料加工ソフトまで出て、動画にまで対応している、また画像編集ソフトにも意図した場所以外を後からぼかすレタッチを簡単にできるソフトが増えたため、わざわざ専用レンズを使って面倒な操作のいる逆アオリによるミニチュア効果 ジオラマ効果はアマチュアの遊びとしてはすっかり廃れました

ただしレンズで光学的に作るボケ方とソフトで作るボケ方は微妙に違い、ソフトでも光学レンズに近いボケにしようとすると、延々と作業時間がかかったりするので、レンズによるジオラマ効果も「時間と金があれば」やってみても良いでしょう。*最近は技術が発達してスマホのIphone7 搭載のポートレートボケ作成機能など侮れないので、小さいサイズでの使用ならデジタル加工で必要十分のケースが多いかも?

本来のアオリ撮影でのピントがある面を傾けるティルト機能を利用した料理や商品撮影

ただし、本来の斜めの角度の被写体に合わせてピントを移動する役割では、アオリレンズのティルト機能はまだ必要な場合もあります。
またソフトウェアによるデジタルレタッチの擬似アオリだと、シフト補正で30~50パーセントの画素ロス、これから述べるピント面の拡大目的(=ピント合成)のティルト撮影では、合成作業で、場合によっては60パーセント以上の画素が減る。

このピント面を斜めに移動させるアオリレンズのティルト機能ですが

http://www.nationalphoto.co.jp/2F/horseman/index_arc.htm
に解説されるようにマクロ撮影をする際、いくら絞っても全体にピントが回らない場合、ピントが合う角度を変えることで問題解決する技術だったのですが

最近はデジタル技術で、ピントを少しずつずらして撮影したものを合成という手法で代用できるケースもあります

『被写界深度の合成 写真・解説:竹澤宏』
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/photoshop/8230.html

最近のオリンパスのカメラはカメラにこの機能を載せました(画素は800万画素固定になるし、微妙につなぎ目がおかしいものができるときもある)
「深度合成」がブツ撮りを変える! OLYMPUS OM-D E-M1が実現する新しいマクロ撮影 Reported by上田晃司(2015/12/15 07:00)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/734481.html

このデジタル技術で、あおりレンズのティルト機能の一つ、斜めに向かった被写体全体にピントの合う面を傾けピントを合わせる、が代用できる場合もありますが、何枚も同じ角度で撮影するため、カメラのミラーショックに耐えるしっかりした三脚がいること(ミラーショックのないミラーレス一眼のほうが向いている)、宝石、金属、鮮魚(青魚やイカ、くらげ)などはピントのあった部分のつなぎ目が不自然など、うまくいかないことも多いわけで、うまくいっても時間がかかるケースも多い、また動画だとこのデジタルピント合成の手法は使えない。さらにピント合成加工で40パーセント以上の画素数が失われる=劣化。というわけで料理などの撮影で、実物のティルト機能を持つ光学交換レンズの需要は完全になくなったわけではないです。

この辺は、写真のみについてですが、いろいろなピント合成ソフトの紹介とともに以下のページが詳しい。
『多焦点合成とは?』
http://www.photo-studio-is.jp/technique/focus_stacking/

前の記事でも書きましたが、小さなカメラほど、使われるレンズの焦点距離は小さくなり、焦点距離の小さなレンズの被写界深度=ピントがあったように見える範囲は格段に増えます。
というわけで、明るい環境を用意して小さなカメラ=スマートフォンのカメラを使うということもできる時代です。

【一眼レフに匹敵するボケの表現力、iPhone 7 PlusのデュアルレンズとRAW撮影を徹底検証する 永山昌克(Masakatsu Nagayama)2016年11月1日, 午前11:30 in Apple】
http://japanese.engadget.com/2016/10/31/iphone-7-plus-raw/
Phone 7 Plusのレンズの焦点距離と開放値、広角3.99mm(35mm=フルサイズ換算28mm)F1.8。望遠6.6mm(35mm判換算で56mm)F2.8

Iphoneは小さいカメラなので、高感度にはもちろん弱いのですが、感度20とか50で撮影できるようになっており、焦点距離の短いレンズ=ブレに強いという利点を生かして感度20とかで撮影すると、意外と一眼レフに対抗できちゃう場合があります(感度100とかはやっぱりどろどろになり始めます)。

 

ティルトレンズ・ポートレートや風景での応用

ポートレートでのアオリレンズのティルト機能応用
 *横たわる人物の顔だけピントを持ってくる
 *こちら側に向かって斜めに寝そべる女性の頭から腰辺りまで女性のみにピントを合わせる
 *女性が立っている左側だけにピントを合わせる
 *道路の、右側の階段にだけピントを合わせて、他をぼかす

*ティルトによる独特のピントの流れを利用して、動きを表現

*前後斜めに並んでいる二名以上の人間の顔に絞りを開け気味にしたままピントを合わせる。

ただし光学アナログティルトレンズは、ティルトさせる角度に変化をつけるときに一操作が要り、オートフォーカスが利かない、露出計が暴れるのでオート露出ではなくマニュアル露出で固定などあるので、撮影時はやはり1忍耐いります。またピント面がとんでもなく傾くので、少し絞り気味で使う方がいい。

ポートレートや、長期の旅行ついでの風景撮影での、ティルトの利用であれば、手持ち撮影が多くなり、Lensbaby 50mm edge, 80mmが、軽量で、ボール型駆動部のため、さっとティルトがかけられ、扱いやすいかもしれない。実際ポートレート用ティルトレンズでレンズベビーを愛用する人は結構います。この2本に関してはおもちゃみたいに見えますが、ピント面の解像含めて、性能は結構高い。もちろん安いものには理由があり、物撮りとかになると、Lensbabyは正確な角度が決めにくい弱点がある。あと、作りの割りに値段がちょいと高いだろうという難点があるのですけど。絞りが自動連動でないので、人によっては、ライブビューか、電子ファインダー式のミラーレス一眼で使うほうがピント合わせでは使いやすいでしょう。

シフトレンズ・ティルトレンズによるポートレートは、斜めに傾いた顔の全体にピントを出すとかいう使い方ではなく、ピントをわざと傾けて独特のボケ(ミニチュア効果的な)を出す使い方の場合、一部はパソコンでのレタッチで代用したほうが、撮影全体の効率が上がる+使い過ぎはかえってわざとらしいことも多いので、絶対必要ではないです。

後加工は、デジタルレタッチ臭さが出る場合もあり、やっぱりレンズを使ったほうが良い場合もあります(ぼかす目的のティルト効果を入れるポートレートを撮るカメラマンも、いかにもティルトレンズを使ったという作品は、全体の5~10%くらいにとどめているのがほとんど。スパイス的にポートフォリオに入れておくといいという感じですね)

世界トップストックフォトグラファー、ユーリ・アーカースのポートレート用愛用ティルトレンズは、レンズベビーのもっと安いおもちゃバージョンでした。ユーリは中判デジタル始め、高画素機・高級レンズを使うイメージが強いのですが、手持ちで撮影する際、大掛かりなアオリレンズもしくは装置はかえって使いにくい、特にシフトとティルト同時使用は、MFな上に、三脚を構えてモデルにポーズを取ってもらう肖像画的な撮影ならともかく、ファッションやアクションなど、手持ちで動きながらの撮影だと、操作とピント合わせに時間がかかり、使いにくいことこの上ない。

そこでシフト補正はあとでのパソコンレタッチに任せ、レタッチでは(場合によってはうまく)表現しにくいティルト効果のみに特化し、小型かつ・操作簡単動かしやすいレンズベビーが採用されたわけです。自分の好みの描写がでれば、ユーリ・アーカースはどんなものでも使うんです。カメラマンはレンズやブランドに拘らない。

(ポートレートでのティルトではなく、シフト機能を応用したステッチ撮影によるポートレート)

50ミリとか35ミリ位のレンズなら歪みが少なく、後からパソコンで補正するほうが、さほど劣化もなく(アオリレンズで補正しても光学的には劣化するしw)、撮影効率は良いでしょう。24ミリくらいの広角レンズ以下の広角なら、歪みが大分大きくなってくるので、パソコンでの補正任せなく、あるいはシフト機能がいる場合もあるかも?てなわけで、超広角以外は、撮影現場での効率を考え、ユーリのように、後からのパソコンでの補正が難しいティルト機能のみを用いるのが正解かと(ちなみにユーリは広角は35ミリ位までがメイン利用)、

ただし、中判や高画素機を使わないで、高画素写真を、分割撮影した写真から作る場合、シフト機能の出番がある時もあります。

まあそんなに高画素がいる機会は(メーカーが言うほどは)ないですが、ポートレート全身撮影とかで、ちょいと高画素がほしいと思うトキありますよね。

座ってるまま、あるいは横たわっている場合、中判も持ち出せない、高画素機だと小絞りボケ(まあ縮小すれば目立たないから実用問題ないだろうという人もいますけどねw)があるとの理由で、手持ちのカメラでシフト機能の付いたレンズを持ち出し(回転させないと片側にしかシフトできないものが旧型や、一部のアダプターでありますので、回転させなくても逆の向きにシフトできるレンズやアダプターが良い)、モデルを(動きにくい場所を起点に))分割撮影します。そして後からパソコンで合成するわけです。

モデルがちょいとポーズつけて立っている場合、「シフト動作する間足動かさないでね」とか結構テンポずれますけど。足以外も、風でスカートひらひらちゃうかもしれないので、動きがでにくいベルト付近、腰のあたりを分割起点にするのがいいでしょう。

後シフトレンズの活用法は、この場合は三脚必須ですが、事務所シーンの撮影で、右側にいるモデルだけ、右側にシフトさせたレンズで連続して撮影し、左側の光景は左側シフトで右側と同じ露出で一枚だけ撮影して、ステッチ分割撮影を行い、後からパソコンで左右を合成という手段もある(品質にこだわればシフトを全くさせない真ん中カットも入れたほうがいいかもしれないが、合成の時モデルの手とかが動いていたりするカットが入ってたりしてじゃまになる場合があるので注意)。

当然上下の関係でも応用できますよね。モデルが下側で(下側にシフト一枚)、遠くの建物が上(上にシフト一枚)とかにも応用できます。ステッチ撮影は三脚があればもちろんいいのですが、マクロ撮影のように至近距離でなければ、一脚(ミニ三脚付いた自立一脚とかね)や壁などを利用して自分自体を固定して手持ちで行う事もできます。

ステッチ撮影でポートレートは、現場の光線、実際の合成(つなぎ目の体型に崩れ具合が生じないか)とか、撮影時のコツの習得とか練習がいるのは当然。いきなり本番とかしないように。

*日本語の「ステッチ」(Stich)は、レタッチソフトや、解説によっては、「スティッチ」、「スティッチイング」とか日本語で表記されることも多いですが、「ステッチ」と表記するのが動画がらみとかには多く、「違うのか?」と言われるかもしれませんが、双方同じ意味です。動画に疎いおじいさん世代か、静止画の写真メインだと「スティッチ」のほうが聞き慣れてるでしょう。


風景撮影で1200万画素機D700と韓国製のあおりティルトシフトレンズsamyang 24mm f3.5(記事ではRokinonブランドの同一製品が利用されている)をつかって、分割撮影した風景をフォトショップ等に付属するパノラマ作成機能で合成する解説記事ですが、女性の全身ポートレートでも、止まったポーズで撮影する場合、動きにくい腰辺りで分割するなどで応用できますね。

Tilt-Shift Lens Panorama Technique – How We Shot It

June 28th 2013 12:00 PM

How to Create a Panorama with a Tilt-Shift Lens

左右にシフトして、2枚撮影で一枚に合成する一例。シフトをかけすぎても画質劣化するので、神経質な人はシフトの量は程々に。あるいは中央の位置でも一枚撮って三枚で合成とか。三脚があればいいとされますが、手抜きで手持ちでする人もいます。

当ブログでは、この記事で使われる(rokinonブランドの)サムヤン製の各社互換レンズとして発売されている24mm F3.5(T-S 24mm F3.5 ED AS UMC)について、実物触っていないので、取り上げていないのです。が、あくまでもあちこちの記事を見た上での感覚で言うと、絞りが自動連動しないので、絞ると光学式ファインダーでは真っ暗になるタイプで光学一眼レフだと、ライブビューを使わないと使いにくい場合もあるかも(アオリ装置や大型ジャバラ式の大判カメラの転用や、レンズベビーも同じですけどね。ニコンマウントで買って、アダプターで電子ファインダーで絞ったままでも明るさが自動調整されピントが見やすい各社ミラーレスで使うのがいいのかな?電子式連動の構造でないので、電子マウントアダプター無しで、いろんなカメラで使いまわしできるメリットがありますけどね)。あくまでのいろんな記事からの推測ですが、描写も細かいことでは有名メーカー製のレンズに劣る+コントラストと色乗りが若干弱い、光線状態ではフレアーが強めに出るなどと弱点があります。が、キヤノンの旧型よりは良い部分もあり、キヤノンの新型と詳しく比較すれば劣っても、使えないということはなさそうです。

海外ではサムヤンブランド以外でRokinonとか扱いのものもあります。米国では、セールとかになると6万(中古なら5万くらい)ちょいで買えるようなので、ありかもしれません。ただし日本だと10万もする+日本でのサービス修理などが日本代理店のケンコーで、どこまでやっているのか未知数。出荷検品や組付け精度が「?」のこともあるし、光学部分は問題なくても、仕上げや操作部分の細かいところでの『あれ?』クラスのハズレ率位は高いよう。日本のユーザーにおすすめできるかは「?」


」アオリレンズ その一 シフト機能編

アオリレンズ その2 ティルト機能編 レンズの光軸を動かす

シフトレンズの活用 ステッチ撮影 小型カメラ・低画素カメラで無理のない高画素写真を作る。一眼レフ用のアオリレンズやアダプターだとパララックスの狂いが合成の障害として生じる場合があるけど・・・

アオリレンズのポートレートなどでのボケコントロール ティルトレンズを使った応用 Freelensing (Freelens, Freelensed)