普通にレンズを絞らず、撮影すると、とくに望遠系レンズでは、以下のように顔だけピントが来る写真になるのが普通です
SMC PENTAX 67 MACRO F4 135mm F4 Nikon フルサイズカメラにアダプター装着
体がボケすぎ
お尻の方までピントを持っていきたい場合、
1:通常は絞りを絞る
という対応をしますが、
大きく絞ってもお尻までピントが来ない場合もあります
また絞りを絞りすぎると、回折現象(小絞りボケ)が生じ、解像力が落ちでぼやけた写真ができることがあります
また、絞りを絞ると、背景のボケが小さくなり、うまく背景をぼかした写真ができにくい
こんなことから、いくつかの対応策があります
A: デジタルカメラの場合、デジタル画像なので、ピントを少しづつずらした写真を20~50枚撮影し、後からパソコンで深度合成編集作業を行う
メリットとしては、レンズ絞り開放の大きなボケを維持したまま、ピントを合わせたい物体の被写界深度を増やせる。ボケが大きな写真が作れる
下は、Adobe Photoshopでのピント合成例 顔からお尻まできっちりピントも来ているし、絞り開放の大きなボケが残りますよね。
深度合成の一例 An Example of Focus Stacking by Adobe Photoshop SMC PENTAX 67 MACRO F4 135mm F4
弱点としては、何十枚も撮影するので時間がかかる。合成ソフトごとに癖があり、なれるのにやや面倒なこともある(自動でうまくいかない場合の補正機能がないソフトもある)。
また、撮影中被写体は動いてはならず、三脚に固定しての撮影が基本となりやや面倒。三脚と雲台は、自分が持てる範囲で一番でかいものが良いのは当然。
さらに屋外だと、撮影途中に太陽に雲がかかったりして、明るさが変わったりすると、最初からやり直しとなる。
最近のピント合成ソフトは優秀ですが、失敗することもあり、もう一度撮影し直しのリスクもある。
どのソフトも一長一短ですが、お金が出せるなら、Helicon Focusは自動任せでもそこそこ優秀(今までこれ使っていなかったので、今回所有の知人に、比較のためのファイルテストをお願いしたんだが、割と優秀なので、ウクライナの会社のソフトにしてはいい値段つけてる以外は、良いソフトですね)
B: 被写界深度が深くなるサイズのカメラを使う
小さいカメラは同じ画角を得るのに、焦点距離が短いレンズを用いるので、焦点距離が短いレンズほど被写界深度が広がる。このため、小型のカメラになればなるほど、絞りを大して絞らなくても、顔からお尻までピントが合った写真が撮影できる
フルサイズと、APS-Cでは、被写界深度的には、同じ画角になるレンズを用いた場合、2段強、APS-Cで撮影したほうが、絞りを絞らなくても良い計算になる(被写界深度ではなく、ボケの大きさという点では、同じ画角になるレンズを用いた場合、フルサイズと、APS-Cのボケの大きさは、1~1.5段くらいの違いで、APS-Cのほうがボケの大きさがやや小さくなる)
この方法は、アマチュアにはとくにおすすめ コンデジとか、スマホのカメラがこの目的にはあっている ボケが欲しい場合、スマホ内蔵のボケ加工か、後加工になるので不自然な場合がある
C:あおりレンズを用いる
あおりレンズでティルト機能のあるレンズを用い、ピントの合う角度を傾けて、顔とおしりにピントが合うように、レンズを傾けるティルト操作を行う
ただし、このあおりのティルト撮影では、ピントの合う角度をかえるだけなので、ピントの合う空間の距離=被写界深度が増えるわけではないので、以下のようになります
Nikon PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D +Nikon AI AF-S TELECONVERTER TC-14E II (本来は付きませんが改造して装着できるようになっている) 逆ティルト6度 合成120mm 絞り開放合成F3.8
Nikon PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D +Nikon AI AF-S TELECONVERTER TC-14E II F3.8 Tilt 6 桜島麻衣
上の写真を見ると、顔とおしりにはピントが来ていますが、手にはピントが来ていないのがわかりますね。
アオリレンズのティルト機能でレンズを傾け、ピントの合う角度を変えただけなので、被写界深度は増えないんです。
これを顔と手にピントが来るように、アオリのティルト角度(レンズの傾き)をかえると、今度はおしりにピントが来ない
結局は、おしりにも手にもピントを来させるには、絞りを絞ることも同時に行うこととなり、背景のボケが小さくなる、この点では絞らなくてもいい、深度合成(ピント合成)が楽ですね
弱点 一眼レフやミラーレス用の、あおりレンズ(キヤノンではTS-E、ニコンではPCあるいはPC-E)レンズは、非常に高価 最近は、中国やアメリカの会社が、需要がなくなって中古で暴落の中判レンズをミラーレスカメラなどでアオリレンズとして使えるアオリアダプターもだしていますが、状態のいい中判のレンズが少なくなっている+操作性がいまいち。
レンズベビーが、ティルト機能のみの比較的安価なアオリレンズを出していますが、アオリ調整が微妙なものだと、やりづらい 私は三本も持っていますがw
また、レンズを傾けたり動かしたりするわけで、アオリをかける具合が大きい場合、色収差によるフリンジが目立つ場合もある(最近のソフトは色収差の補正が簡単かつ優秀なのが増えましたが)
また、一眼レフ用のこうしたTS-E, PC-Eなどあおりレンズは、高価にも関わらず、フロントあおり機能しかなく、バックあおり機能はない=バックティルトやバックシフトの機能がない、なんちゃってあおりレンズなので、高度なあおり操作は無理
こうしたことから、きちんとしたあおり装置のある、ビュータイプの大判カメラや中判カメラに、一眼レフやミラーレスカメラを装着するのが、最近少し値段が上がったとは言え、未だ安値の中古が転がってるのでありですが、 大判カメラ(中判)やレンズの操作の知識がいる また巨大なので、大型の三脚に備え付けが必須となる など、ホビーカメラマンには無理無理の世界
ビューカメラ式のミラーレスや一眼レフにつけるアオリアダプターもありますが、高価
一眼レフ用のアオリレンズで、絞り機構などが機械式のものなら、アオリ機能付きの一眼レフ→ミラーレスカメラ用のマウントアダプターを更に取っつければ、ミラーレスカメラでフロントアオリとバックアオリが可能になりますが、アオリ機能付きのマウントアダプターでは、アオリの微妙な調整が構造上ややめんどくさい。さらに機械式絞りの一眼用アオリレンズは、中古で探しても殆どないのが現状(新品はサムヤンの24mmがある)
まあ、それはさておき、以下のように
Nikon PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D +Nikon AI AF-S TELECONVERTER TC-14E II にティルトができるマウントアダプターをさらに一個追加し、バックティルトもできるようにして、ソニーのEマウントカメラでフロントティルト上向き6度、バックティルト右に8度、120mm 絞り開放F3.8で撮影したのが下、別の日に撮影したので、ちょいと曇り気味ですが、
Nikon PC Micro-Nikkor 85mm f/2.8D +Nikon AI AF-S TELECONVERTER TC-14E II F3.8 +Tilt Shift Mount Adapter : Sony A7III
やっぱり絞って被写界深度を稼がないと、ボケる部分が出ちゃいます。
とか色々あるので、アマチュアなどのホビーメインのカメラマンは、アオリレンズ・あるいはアオリ装置での撮影より、ピント合成=深度合成か、センサーが小型のサイズのスマホなどを使うのが無難です。
アオリレンズは、シフト機能があれば、スティッチ(ステッチ)撮影(パノラマ合成のようなもの)によって、フルサイズカメラでも、フジの中判クラスの画素サイズのカメラで撮影したように合成できる、なんちゃって中判撮影ができたりするので、お金があるなら買うのは止めませんし、建築写真をそれなりのギャラがもらえる専門職の仕事でやってるなら、一本は持っておきたいものです。
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フロントあおりバックあおりの解説は、
「アオリ撮影」Y’s CREATE CO.,LTD
http://www.ohban4x5.com/aori.html
被写界深度
https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/manual/19/05.html
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