フォーカスブリージングが少ないレンズって、動画で本当に必要なの?【機材の性能項目】

投稿者: 5190343667gg

フォーカスブリージング(Focus Breathing)とは、レンズのピント位置を変えると、映る範囲が広くなったり、狭くなったりする、画角の変化が起きる現象のことを言います

写真用の交換レンズではあまり需要な要素ではなく、どっちかというと、動画の世界に必要になる場合があるというくらいのものですが、

最近のカメラは動画機能を搭載し、動画やドラマを撮影するのにも部分的に使われることも増えたため、本来は写真用のレンズにもフォーカスブリージングが抑えられたと宣伝するレンズが増えました。

ハリウッド映画特撮プロ・MarkusPix(Markus Rothkranz)さんは、

Learn to take Great Pictures and Video with ANY Camera どんなカメラでも素晴らしい写真とビデオを撮る方法を学ぶ

動画 5:25 から、最近写真上がりの人たちが大騒ぎする、レンズのフォーカスブリージング性能について、僕も周りもそんなことはどうでもいい 多少背景が大きくなったり小さくなるくらいでどうだっての?いちばん大事なのは、内容そのものが面白いかなんだけど、フォーカスブリージング、画素がどうのって、変な人達いるよね

*一部のシーンではフォーカスブリージングが抑えられたレンズをつかった描写が欲しいケースもあります。でも

テストサイトではフォーカスブリージングが大きく見えるレンズを使っても、実際の撮影では、ピントを動かす範囲はごく狭かったりするので、実際はあまり問題にはならないことのほうが多い

ネットの検証サイトでも、写真用レンズの性能チェック項目になり始めたのは、ここ数年です。

まあ、写真と動画ではレンズに対する優先事項が異なるので、写真用レンズは、高いレンズならフォーカスブリージングが抑えられているとは限らず、とんでもなく安いレンズで優秀だったりするレンズもあります(Samyang AF 35mm 1.4 FEとかね)

また、動画の人も、フォーカスブリージングが盛大に出る写真用レンズを、やすいからと、映画に使ったりすることもあることからわかるように、フォーカスブリージング抑制性能は、必ずしも必要とは限らず、あればいいことがあるという性能指標の一つです。

フォーカスブリージング現象は、近距離で出やすいので、ある程度距離をおいた撮影で、ピントリングの移動量が少ない撮影なら、フォーカスブリージングが出まくるレンズでも、さほど問題なく撮影できます。

英国のTom Caltonさんの35mm 1.4対決ビデオを見てみましょう

Sony 35mm f/1.4 GM vs Sigma 35mm f/1.4 vs Sigma 35mm f/1.2 vs ALL OTHER 35mm f/1.4 E-Mount Lenses!

動画の8:05から、ビデオモードでのAF追従テストが始まります

左上は、35mm 1.4(と35mm 1.2)のレンズでは、フォーカスブリージングが抑えられて写真用レンズとしては優秀な、Samyang AF 35mm 1.4 FEがあり、残りはソニーとシグマのレンズなのですが

フォーカスブリージングが出まくるレンズでも、ある程度距離がある撮影なら、フォーカスブリージングによる画角変化はさほど気にならないことがわかります。

動画9:46から、もっとフォーカスブリージングの出まくる条件のテストがありますが、このテストでは、ピントリングを思いっきりまわしても、画角の変化が一番少ないのは、左上のSamyang AF 35mm 1.4 FEで、他のソニー2本とシグマ3本は盛大にフォーカスブリージングが出ていますが、ある程度距離をおいた撮影なら、動画8:05に見るように、さほど目立った違いはないということになります。

Tom Caltonさんの別のビデオで、シグマの新旧35mm 1.4の検証動画を見ましょう

旧Sigma 35mm f/1.4 DG HSM

新Sigma 35mm f/1.4 DG DN

NEW Sigma 35mm f/1.4 DG DN vs OLD Sigma 35mm f/1.4 DG HSM – PHOTO & VIDEO REVIEW!

動画6:02から両レンズのフォーカスブリージング検証テスト、両方ともピントリング回すと、画角が大幅に変化して、フォーカスブリージング抑制性能は大したことがないとわかります

ただ、距離が離れているシーンの撮影なら、フォーカスブリージングによる画角の変化は、両方ともあまりに気ならないというのが、

動画5:12から見えます、こっちに向かって歩いている女性を動画モードのAFで追従するのですが、

ほとんど画角が変化しない=フォーカスブリージングが起きない

ということがわかります。

というわけである程度距離が離れた撮影なら、フォーカスブリージングが大きいレンズでも、気にならないということになります。

ただ、距離が近い撮影で、画面にいる人物がゆっくりピントが外れていくなどの表現では、フォーカスブリージングが少ないレンズが必要な場合もあり、動画専用に作られたシネレンズ(シネマレンズ)の高額なものには、多数あります

以下がトキナーが作っているシネレンズ(シネマレンズ)のフォーカスブリージング耐性テスト動画

Tokina Cinema Prime vs Master Prime Breathing/Flares

ピントの位置を変えても、写る範囲=画角の変化(フォーカスブリージング)が最小限に抑えられています

ただ、写真と動画では、レンズ性能の優先度がことなるので、写真用レンズは、フォーカスブリージングが大きくなっても、他の性能を重視していたりするのため、最近のレンズでも写真用レンズにはフォーカスブリージングが大きいものは珍しくない。

*写真用レンズは、価格も映画用のシネレンズより遥かに安くしないといけないのも、フォーカスブリージング抑制が後回しになること要因であるのは、今でも多いです。やすいシネレンズも、フォーカスブリージング出まくりなのは普通にありますし。

この他写真用レンズのフォーカスブリージングを抑える、安上がりな方法として、接写リングを噛ませ、ピントリングを無限のあたりで撮影すると、フォーカスブリージングがほとんどでなくなる、原始的な現場の解決の知識もあります

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