生涯ほとんど(フルサイズ=ライカ判)では50ミリしか使わなかったHenri Cartier-Bresson(アンリ・カルティエ=ブレッソン)は、準広角レンズの35mmも実は大好きだった

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いわゆるフルサイズでの50mm(A6400, Kiss M, D5600などのAPS-C小型カメラでは35mmになる)レンズ一本でほぼすべての仕事を死ぬまで続けたフランスの写真家、Henri Cartier-Bresson(アンリ・カルティエ=ブレッソン:英語読みだとヘンリだが日本ではカナ表記でアンリとされる)は、実のところ、35mm(APS-Cカメラだと24mm)レンズも好きだった

アンリ・カルティエ=ブレッソンは、街の人々の出来事の一瞬を捉えるストリート報道写真家でした。50mmといえばブレッソンと言われるくらい、ほとんど50mmレンズしか使いませんでした。
新聞社のニュースネタ、「街の人々の一瞬」を狙っていたので、それ以外の撮影はしなかったので、実際それで用事が足りたわけですが、

Henri Cartier-Bresson:
“There Are No Maybes”
By The New York Times Jun. 21, 2013
https://lens.blogs.nytimes.com/2013/06/21/cartier-bresson-there-are-no-maybes/

という死後に公表されたインタビューの中で、50mmレンズしか使わなかったのはなぜかと聞かれた、ブレッソンはこう回答しています。あくまでニュース写真家としての立場で答えてるので、他のジャンルの人が真似する必要はないです

Q.Can you bear to talk a bit about your equipment?
A.I am completely and have always been uninterested in the photographic process. I like the smallest camera possible, not those huge reflex cameras with all sorts of gadgets.“(上記ニューヨーク・タイムズ記事引用)(【質問】あなたの機材についてお話しいただけませんか?【ブレッソン】僕は全く写真のプロセス【写真絡みのいろんな知識】にはずっと興味がまったくないんですよ。あらゆるタイプのアクセサリとかがついたでかい一眼レフではなく、できるだけ小さいカメラが好きなんです

と、自分のスタイルの写真を撮影するのに必要なものに特化していればカメラは何でもよく、それ以外のモノのために大きなカメラなんてかえって邪魔さというわけですね。
また、仕事に必要ない写真の知識は全く興味がなく、自分に必要なことだけマスターし、それ以外のことは全く無知だということも白状しています。ブレッソンより、21世紀のそのへんの中学生の方が、写真用語の知識はありそうですねw
現時点で使えこなせないものを、必要もないのに写真関連だからとむやみに覚えても、かえって無駄。知識は、必要になってから覚えればいいわけですね
日本の今騒いでる大学教育とか高等教育のように、使いこなせもしないのにハッセルが~プラナが~、入学試験の公平性が~【大学が職業人のランク格付けに使われてる、本来の大学の意味がない本末転倒状態】と騒いでるのと一緒の教育マスコミ=仕事の学力小学生のインチキインテリ学力には耳が痛いだろう。
さてここからが核心です。

Q.Why the 50-millimeter lens?
A.It corresponds to a certain vision and at the same time has enough depth of focus, a thing you don’t have in longer lenses. I worked with a 90. It cuts much of the foreground if you take a landscape, but if people are running at you, there is no depth of focus. The 35 is splendid when needed, but extremely difficult to use if you want precision in composition. There are too many elements, and something is always in the wrong place. It is a beautiful lens at times when needed by what you see. But very often it is used by people who want to shout. Because you have a distortion, you have somebody in the foreground and it gives an effect. But I don’t like effects. “(上記ニューヨーク・タイムズ記事引用)(【質問】50mmレンズを使う理由は?【ブレッソン】とあるビジョンと、同時に望遠レンズでは、被写界深度が稼げないということだねパンフォーカスにできない=ピント合わせに時間がかかりシャッターチャンスを逃す】。もし風景を撮影すると、前景が切り取られるし、もし人々があなたの方に駆け寄ってくると、被写界深度が足りない【ピントが合わせにくいということを意味している】35mmレンズは必要なときは素晴らしいさ。でも構図を正確に決めるのが非常に難しいことがままある。非常に多くの要素や何かが、邪魔な位置に入り込むのさ。あなたの視野に必要なときには、【35mmレンズは】とっても素晴らしいレンズだよ。でも叫びたい人たちによく使われる。歪曲があるので、前景に誰かが映り込むし、それは効果を生むわけだ。でも私はその効果が嫌いなんでね

とはいっても、あくまでブレッソンの時代の話の持論なので(カラーフィルムの感度がISOで10~32、モノクロフィルムもISOが50くらいだったか。性能も低く、小型カメラのフィルムは、トリミングもさほど行えない低解像)、時代が移ると、フィルムの高性能化や、デジタルカメラの登場で、ブレッソンのスタイルを踏襲した多くのニュース写真家(ビル・カニンガムさんとか)は、35mm(APS-Cなら24mm)の準標準レンズを使い、余計なものが写り込んだらトリミングで削除するというのが増えていきます。広角レンズ特有の、周辺にかけての歪みもデジタル補正するソフトも有る時代ですからw

ブレッソンはややこしいことは覚えたくなく、操作が簡単でできるだけ小さいカメラが大好きと言っていたので、今の時代、彼が生まれ変わって若手カメラマンなら、スマホIphone 11 proとモバイル充電器を使って街を歩き回っているでしょうw

ブレッソンはそもそも画家志向だったので、絵の複写は50ミリが良い、また報道写真家としてはカネがないので、50ミリ一本ではじめ、長くそれで通したので画角が身体に染付ついた。また50mmなら距離5メートル、絞りをF8に固定すればピント合わせの手間を省いて写真が撮れるなどの理由があった、これは望遠レンズでは無理。など彼の仕事には最適なのが50mmレンズだった理由をいろいろなところで話しています。

ブレッソンは、カメラマンとしては、報道写真家であり、事実を切り取ることがニュース写真と考えていたので、余計なものが入り込まない50mmが最適だが、実際は35mmも大好きだったということですね。

また、これはあくまで個人の好みの話なので、レンズの画角が好みに合うか、自分のスタイルでいいかで標準レンズは異なります。

あと、カラー写真は大嫌い(報道写真家でしたので、事実を強調して事件を正確に伝える写真としては、色に惑わされず物事を正確に伝える白黒モノクロが良く、カラー写真は色でニュース事実をぼやかす可能性が高くなるという発想)、カメラが内蔵露出計を採用したのは理解できない(一定の光線状態なら、いちいち露出を変える必要はないから、露出計よりいくつかパターンを知っておけばいいだけという持論)
などの解釈もブレッソンは喋っています

*Sheila Turner-Seedという人が1971年に、ブレッソンにインタビューしたのですが、どこも採用しなかった、またインタビューをしたSheilaさんが1979年に若死にしてしまい、その時のインタビュー記録はその後長く倉庫の中で眠っていました。2013年にそれは遺族によって掘り返され、ニューヨーク・タイムズで公表されたんです。

他の参考記事

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By theme on August 12, 2014 THEME Photography Daily
https://the.me/dont-just-shoot-50mm-because-henri-cartier-bresson-did-so/


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