アオリレンズ その2 ティルト機能編 弘法は筆を選ばず レンズベビーの活用 レタッチソフト機能による代用 (おまけの応用)シフト機能を応用して中判いらずの超高画質撮影

投稿者: 5190343667gg

アオリレンズのティルト効果の利用法

レンズを傾けることによってピントの合う角度を変えられるため、商品撮影などで斜めに置いた置物全体にピントを合わせたりする手法が主体。

だが、意図的にピントの合う箇所を変えることで、たとえばポートレートで建物の横に女性が立っている場合、女性にのみピントを合わせて、建物をぼかすなどの手法がある。これを逆アオリという。

http://www.nationalphoto.co.jp/2F/horseman/index_arc.htm

逆アオリを利用しての表現で、一時期はやったものにミニチュア効果 ジオラマ効果ともいう

ティルトで生み出される独特の表現として、ピントが合う範囲を狭めるものがあります。逆ティルト撮影とかミニチュア撮影手法といわれ、アマチュア写真家の間で一時期はやった方法です。ビルの屋上や丘の上など上から見下ろすアングルから、レンズのティルトを下にではなく上に向けて動かし、下界の実物の風景をミニチュアのように見せる手法でした。
ニコンやキヤノンの専用アオリレンズは高いので、旧ソ連のレンズをわざわざ個人輸入したり、レンズベビーがおもちゃレンズの扱いだが、実用になる比較的安価なティルト機能搭載レンズを出したり、それなりに人気はあったようです。

が、逆アオリは、ジオラマ効果など一部の表現では、デジタルレタッチでも似たような画像が作り出せるようになりました。今ではカメラの中でソフト的にミニチュア効果を作成する機能がついたり、

パソコンソフトの「チルトシフトスタジオ」という
http://tiltshift-studio.com/

無料加工ソフトまで出て、動画にまで対応している、また画像編集ソフトにも意図した場所以外を後からぼかすレタッチを簡単にできるソフトが増えたため、わざわざ専用レンズを使って面倒な操作のいる逆アオリによるミニチュア効果 ジオラマ効果はアマチュアの遊びとしてはすっかり廃れました

ただしレンズで光学的に作るボケ方とソフトで作るボケ方は微妙に違い、ソフトでも光学レンズに近いボケにしようとすると、延々と作業時間がかかったりするので、レンズによるジオラマ効果も「時間と金があれば」やってみても良いでしょう。*最近は技術が発達してスマホのIphone7 搭載のポートレートボケ作成機能など侮れないので、小さいサイズでの使用ならデジタル加工で必要十分のケースが多いかも?

本来のアオリ撮影でのピントがある面を傾けるティルト機能を利用した料理や商品撮影

ただし、本来の斜めの角度の被写体に合わせてピントを移動する役割では、アオリレンズのティルト機能はまだ必要な場合もあります。
またソフトウェアによるデジタルレタッチの擬似アオリだと、シフト補正で30~50パーセントの画素ロス、これから述べるピント面の拡大目的(=ピント合成)のティルト撮影では、合成作業で、場合によっては60パーセント以上の画素が減る。

このピント面を斜めに移動させるアオリレンズのティルト機能ですが

http://www.nationalphoto.co.jp/2F/horseman/index_arc.htm
に解説されるようにマクロ撮影をする際、いくら絞っても全体にピントが回らない場合、ピントが合う角度を変えることで問題解決する技術だったのですが

最近はデジタル技術で、ピントを少しずつずらして撮影したものを合成という手法で代用できるケースもあります

『被写界深度の合成 写真・解説:竹澤宏』
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/photoshop/8230.html

最近のオリンパスのカメラはカメラにこの機能を載せました(画素は800万画素固定になるし、微妙につなぎ目がおかしいものができるときもある)
「深度合成」がブツ撮りを変える! OLYMPUS OM-D E-M1が実現する新しいマクロ撮影 Reported by上田晃司(2015/12/15 07:00)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/734481.html

このデジタル技術で、あおりレンズのティルト機能の一つ、斜めに向かった被写体全体にピントの合う面を傾けピントを合わせる、が代用できる場合もありますが、何枚も同じ角度で撮影するため、カメラのミラーショックに耐えるしっかりした三脚がいること(ミラーショックのないミラーレス一眼のほうが向いている)、宝石、金属、鮮魚(青魚やイカ、くらげ)などはピントのあった部分のつなぎ目が不自然など、うまくいかないことも多いわけで、うまくいっても時間がかかるケースも多い、また動画だとこのデジタルピント合成の手法は使えない。さらにピント合成加工で40パーセント以上の画素数が失われる=劣化。というわけで料理などの撮影で、実物のティルト機能を持つ光学交換レンズの需要は完全になくなったわけではないです。

この辺は、写真のみについてですが、いろいろなピント合成ソフトの紹介とともに以下のページが詳しい。
『多焦点合成とは?』
http://www.photo-studio-is.jp/technique/focus_stacking/

前の記事でも書きましたが、小さなカメラほど、使われるレンズの焦点距離は小さくなり、焦点距離の小さなレンズの被写界深度=ピントがあったように見える範囲は格段に増えます。
というわけで、明るい環境を用意して小さなカメラ=スマートフォンのカメラを使うということもできる時代です。

【一眼レフに匹敵するボケの表現力、iPhone 7 PlusのデュアルレンズとRAW撮影を徹底検証する 永山昌克(Masakatsu Nagayama)2016年11月1日, 午前11:30 in Apple】
http://japanese.engadget.com/2016/10/31/iphone-7-plus-raw/
Phone 7 Plusのレンズの焦点距離と開放値、広角3.99mm(35mm=フルサイズ換算28mm)F1.8。望遠6.6mm(35mm判換算で56mm)F2.8

Iphoneは小さいカメラなので、高感度にはもちろん弱いのですが、感度20とか50で撮影できるようになっており、焦点距離の短いレンズ=ブレに強いという利点を生かして感度20とかで撮影すると、意外と一眼レフに対抗できちゃう場合があります(感度100とかはやっぱりどろどろになり始めます)。

 

ティルトレンズ・ポートレートや風景での応用

ポートレートでのアオリレンズのティルト機能応用
 *横たわる人物の顔だけピントを持ってくる
 *こちら側に向かって斜めに寝そべる女性の頭から腰辺りまで女性のみにピントを合わせる
 *女性が立っている左側だけにピントを合わせる
 *道路の、右側の階段にだけピントを合わせて、他をぼかす

*ティルトによる独特のピントの流れを利用して、動きを表現

*前後斜めに並んでいる二名以上の人間の顔に絞りを開け気味にしたままピントを合わせる。

ただし光学アナログティルトレンズは、ティルトさせる角度に変化をつけるときに一操作が要り、オートフォーカスが利かない、露出計が暴れるのでオート露出ではなくマニュアル露出で固定などあるので、撮影時はやはり1忍耐いります。またピント面がとんでもなく傾くので、少し絞り気味で使う方がいい。

ポートレートや、長期の旅行ついでの風景撮影での、ティルトの利用であれば、手持ち撮影が多くなり、Lensbaby 50mm edge, 80mmが、軽量で、ボール型駆動部のため、さっとティルトがかけられ、扱いやすいかもしれない。実際ポートレート用ティルトレンズでレンズベビーを愛用する人は結構います。この2本に関してはおもちゃみたいに見えますが、ピント面の解像含めて、性能は結構高い。もちろん安いものには理由があり、物撮りとかになると、Lensbabyは正確な角度が決めにくい弱点がある。あと、作りの割りに値段がちょいと高いだろうという難点があるのですけど。絞りが自動連動でないので、人によっては、ライブビューか、電子ファインダー式のミラーレス一眼で使うほうがピント合わせでは使いやすいでしょう。

シフトレンズ・ティルトレンズによるポートレートは、斜めに傾いた顔の全体にピントを出すとかいう使い方ではなく、ピントをわざと傾けて独特のボケ(ミニチュア効果的な)を出す使い方の場合、一部はパソコンでのレタッチで代用したほうが、撮影全体の効率が上がる+使い過ぎはかえってわざとらしいことも多いので、絶対必要ではないです。

後加工は、デジタルレタッチ臭さが出る場合もあり、やっぱりレンズを使ったほうが良い場合もあります(ぼかす目的のティルト効果を入れるポートレートを撮るカメラマンも、いかにもティルトレンズを使ったという作品は、全体の5~10%くらいにとどめているのがほとんど。スパイス的にポートフォリオに入れておくといいという感じですね)

世界トップストックフォトグラファー、ユーリ・アーカースのポートレート用愛用ティルトレンズは、レンズベビーのもっと安いおもちゃバージョンでした。ユーリは中判デジタル始め、高画素機・高級レンズを使うイメージが強いのですが、手持ちで撮影する際、大掛かりなアオリレンズもしくは装置はかえって使いにくい、特にシフトとティルト同時使用は、MFな上に、三脚を構えてモデルにポーズを取ってもらう肖像画的な撮影ならともかく、ファッションやアクションなど、手持ちで動きながらの撮影だと、操作とピント合わせに時間がかかり、使いにくいことこの上ない。

そこでシフト補正はあとでのパソコンレタッチに任せ、レタッチでは(場合によってはうまく)表現しにくいティルト効果のみに特化し、小型かつ・操作簡単動かしやすいレンズベビーが採用されたわけです。自分の好みの描写がでれば、ユーリ・アーカースはどんなものでも使うんです。カメラマンはレンズやブランドに拘らない。

(ポートレートでのティルトではなく、シフト機能を応用したステッチ撮影によるポートレート)

50ミリとか35ミリ位のレンズなら歪みが少なく、後からパソコンで補正するほうが、さほど劣化もなく(アオリレンズで補正しても光学的には劣化するしw)、撮影効率は良いでしょう。24ミリくらいの広角レンズ以下の広角なら、歪みが大分大きくなってくるので、パソコンでの補正任せなく、あるいはシフト機能がいる場合もあるかも?てなわけで、超広角以外は、撮影現場での効率を考え、ユーリのように、後からのパソコンでの補正が難しいティルト機能のみを用いるのが正解かと(ちなみにユーリは広角は35ミリ位までがメイン利用)、

ただし、中判や高画素機を使わないで、高画素写真を、分割撮影した写真から作る場合、シフト機能の出番がある時もあります。

まあそんなに高画素がいる機会は(メーカーが言うほどは)ないですが、ポートレート全身撮影とかで、ちょいと高画素がほしいと思うトキありますよね。

座ってるまま、あるいは横たわっている場合、中判も持ち出せない、高画素機だと小絞りボケ(まあ縮小すれば目立たないから実用問題ないだろうという人もいますけどねw)があるとの理由で、手持ちのカメラでシフト機能の付いたレンズを持ち出し(回転させないと片側にしかシフトできないものが旧型や、一部のアダプターでありますので、回転させなくても逆の向きにシフトできるレンズやアダプターが良い)、モデルを(動きにくい場所を起点に))分割撮影します。そして後からパソコンで合成するわけです。

モデルがちょいとポーズつけて立っている場合、「シフト動作する間足動かさないでね」とか結構テンポずれますけど。足以外も、風でスカートひらひらちゃうかもしれないので、動きがでにくいベルト付近、腰のあたりを分割起点にするのがいいでしょう。

後シフトレンズの活用法は、この場合は三脚必須ですが、事務所シーンの撮影で、右側にいるモデルだけ、右側にシフトさせたレンズで連続して撮影し、左側の光景は左側シフトで右側と同じ露出で一枚だけ撮影して、ステッチ分割撮影を行い、後からパソコンで左右を合成という手段もある(品質にこだわればシフトを全くさせない真ん中カットも入れたほうがいいかもしれないが、合成の時モデルの手とかが動いていたりするカットが入ってたりしてじゃまになる場合があるので注意)。

当然上下の関係でも応用できますよね。モデルが下側で(下側にシフト一枚)、遠くの建物が上(上にシフト一枚)とかにも応用できます。ステッチ撮影は三脚があればもちろんいいのですが、マクロ撮影のように至近距離でなければ、一脚(ミニ三脚付いた自立一脚とかね)や壁などを利用して自分自体を固定して手持ちで行う事もできます。

ステッチ撮影でポートレートは、現場の光線、実際の合成(つなぎ目の体型に崩れ具合が生じないか)とか、撮影時のコツの習得とか練習がいるのは当然。いきなり本番とかしないように。

*日本語の「ステッチ」(Stich)は、レタッチソフトや、解説によっては、「スティッチ」、「スティッチイング」とか日本語で表記されることも多いですが、「ステッチ」と表記するのが動画がらみとかには多く、「違うのか?」と言われるかもしれませんが、双方同じ意味です。動画に疎いおじいさん世代か、静止画の写真メインだと「スティッチ」のほうが聞き慣れてるでしょう。


風景撮影で1200万画素機D700と韓国製のあおりティルトシフトレンズsamyang 24mm f3.5(記事ではRokinonブランドの同一製品が利用されている)をつかって、分割撮影した風景をフォトショップ等に付属するパノラマ作成機能で合成する解説記事ですが、女性の全身ポートレートでも、止まったポーズで撮影する場合、動きにくい腰辺りで分割するなどで応用できますね。

Tilt-Shift Lens Panorama Technique – How We Shot It

June 28th 2013 12:00 PM

How to Create a Panorama with a Tilt-Shift Lens

左右にシフトして、2枚撮影で一枚に合成する一例。シフトをかけすぎても画質劣化するので、神経質な人はシフトの量は程々に。あるいは中央の位置でも一枚撮って三枚で合成とか。三脚があればいいとされますが、手抜きで手持ちでする人もいます。

当ブログでは、この記事で使われる(rokinonブランドの)サムヤン製の各社互換レンズとして発売されている24mm F3.5(T-S 24mm F3.5 ED AS UMC)について、実物触っていないので、取り上げていないのです。が、あくまでもあちこちの記事を見た上での感覚で言うと、絞りが自動連動しないので、絞ると光学式ファインダーでは真っ暗になるタイプで光学一眼レフだと、ライブビューを使わないと使いにくい場合もあるかも(アオリ装置や大型ジャバラ式の大判カメラの転用や、レンズベビーも同じですけどね。ニコンマウントで買って、アダプターで電子ファインダーで絞ったままでも明るさが自動調整されピントが見やすい各社ミラーレスで使うのがいいのかな?電子式連動の構造でないので、電子マウントアダプター無しで、いろんなカメラで使いまわしできるメリットがありますけどね)。あくまでのいろんな記事からの推測ですが、描写も細かいことでは有名メーカー製のレンズに劣る+コントラストと色乗りが若干弱い、光線状態ではフレアーが強めに出るなどと弱点があります。が、キヤノンの旧型よりは良い部分もあり、キヤノンの新型と詳しく比較すれば劣っても、使えないということはなさそうです。

海外ではサムヤンブランド以外でRokinonとか扱いのものもあります。米国では、セールとかになると6万(中古なら5万くらい)ちょいで買えるようなので、ありかもしれません。ただし日本だと10万もする+日本でのサービス修理などが日本代理店のケンコーで、どこまでやっているのか未知数。出荷検品や組付け精度が「?」のこともあるし、光学部分は問題なくても、仕上げや操作部分の細かいところでの『あれ?』クラスのハズレ率位は高いよう。日本のユーザーにおすすめできるかは「?」


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